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王道を走れば:幻想にて
第四章、その4の2:布石
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いつつ慧卓は騎士の顔を貼り付けると、エルフの取り巻きらの敵愾の目は慧卓に集中する。

「エルフの衛兵というのは無抵抗な相手に対して暴力を振るうのか?私はそのようなものではないと信じていたのだが」
「・・・確かに解釈としては、過ぎたる力の行使かもしれん。が、我等にはそれをする正当な理由があるのだ。貴殿は黙ってもらいたい」
「若い人間が口を挟む問題ではない、失せろ」
「・・・私は北嶺調停官補佐役、ケイタク=ミジョーだ」
『っ!』

 顔を知らなかったのだろう、衛兵らはちらりと互いを見遣っている。一番年嵩を重ねた四十手前の見た目をした男が言う。

「非礼を詫びる、補佐役殿」
「そう思われるのならば直ぐに手を引いていただこうか」
「いや出来ん。何故ならこやつは、神聖なる我等の土地を勝手に測量してからな。それも畏れ多くも、巫女殿の住まいの近くをっ!何と汚らわしき所業である事か!」
「・・・貴方は何か勘違いをしておられるようだ。我等は許可も得ずに行動をしているわけではない。賢人イル=フード殿より直接の許しを得て、土地の測量を行っている」
「なっ、閣下から・・・!?」

 彼らの驚きようを見て、慧卓は一人意地の悪い頬の歪みを矯正しつつ、続けて言う。

「私をあの御方との約定は秘密のものであったため、下の者には伝えられなかった。貴方々に誤解を招いた事については、申し訳なく思う。だが眼下の事態はそれとは別種のもの。過ぎたる力の行使を謝罪していただければ、事を表沙汰にする事は控えよう」
「な、ならんぞっ。貴殿は間違っている!」
「何を根拠に申されている?貴殿は衛兵だろう?衛兵が守るべき場を離れ、あまつさえ外交官に無礼な物言いをする許しを得ているのか?一体誰に?」
「っっ・・・!!」

 エルフ達の顔はいきり立って赤らみ始める。額には青筋すら浮かんでいるようだ。リコがやり過ぎだといわんばかりに、笑んだままでいる慧卓の服の袖を引っ張った。

「も、もうよしましょうよ・・・皆、怖いです」
「言っててなんだが、俺本当に考え無しだな」
「えっ?」
「どうしよう・・・こんなに怒るなんて予想外だったっ・・・」
「な、何考えているんですか、馬鹿ですかっ!?」

 ただの測量であったのだがこれほどの激怒を買った慧卓は笑みを保ちつつも、目がぱっちりと見開き、焦りのあまり首筋に冷や汗を沸かしていた。一方で傍目から見ればそれは、相手を侮辱して嘲りの表情を浮かべたそれと大差が無く、衛兵らは槍の矛先を彼らに向けようとする。

「貴殿らは、やっていい事と悪い事の区別をっ・・・!!」
「何をしているか、貴様ら」

 一声にびくりとして、男らも、そして慧卓らも目を向けた。都合の良い事に、此方に向かってイル=フードが近寄ってきた。

「か
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