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王道を走れば:幻想にて
第四章、その4の2:布石
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測量してみても、タイガの森だけでかなりの広大さがある事が判明したのだ。先が思いやられるとは正にこの事であった。

「で、でも、勝手に土地を測量してもいいんでしょうか?」
「心配すんな。朝方、イル=フード殿から許可は貰ってある。・・・まぁ、俺とあの人の間でだけ取り交わした約束だから、下の者は知らないんじゃないか?だからさっさと逃げようぜ」
「そ、そうなんですか・・・。でもちょっと待って下さいね。精度を出すために、もう一箇所見たい場所が・・・」

 リコはそう言って離れていき、目に付いた場所で立ち止まり測量を始める。職務に従順であり、そして己の才能を発揮する様を見て感心せずにはいられない。

(本当に同年代か、あいつ?俺よりもよっぽど凄いじゃないか・・・)

 慧卓は木に寄りかかってそう思わざるを得なかった。方や剣も使えぬ騎士と方や才気ある測量士。得意とされる筈の分野で活躍できないのに対し、リコは出来る。一縷のジェラシーを抱かずにはいられなかった。

(俺は剣も碌に使えないし、力も無いし・・・駄目駄目。だけどあいつは自分の力を発揮できる。・・・あぁーやだやだ!マイナス思考なんて似合わないぞっ、俺!!)

 もやもやとした思いを吐き出すように大きく溜息を吐く。他人に感心するのはいいが嫉妬を覚えるのは駄目だ。そう思ってリコを見遣ると、思わぬ光景に目を開く事となる。

「・・・ああ、こりゃやばい」

 測量をしていたリコを囲むように、幾人ものエルフが立ち並んでいるのだ。手に携えるは鋭き槍、背中に羽織るは一枚の褐色の外套。即ち彼らはエルフの衛兵であり、イル=フードの部下であった。

『・・・っ!!なんで・・・!!』
『・・・その・・・っ、・・・を・・・』
『ふざけるなっ!!!誰の許しを得て・・・っ!!』

 明らかに口論をしているようであり、リコが一方に捲くし立てられる様相である。慧卓はそれを眺めつつ、而して彼を助けるために足を動かそうとはしなかった。

(・・・手を出すか、出さないか)

 仮に手を出すとした場合、外交的な非礼を向こう側は働く事となる。即ちそれは彼らが仕えるイル=フードに対して、此方側が更に足を踏み入れる理由が出来るという事。敢えて慧卓が手を出さないのもそれがためであり、リコの肩が軽くどつかれた時、漸く足を動かそうと奮起する。

「・・・手を出したな、エルフ」

 仲間を道具に利用した罪悪感も感じないでもないが、与えられた役目を果たすためには少しばかりの不快感も許容してもらいたいものである。慧卓は可能な限り、威圧感のある声で警告する。

「おいやめろっ、なにをやっている!!!」
「・・・おい、手を離せ」

 肩に掴み掛かっていた男が離れ、リコが怯えた表情で慧卓に駆け寄った。彼を庇
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