魔女の意気
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「まったくもう……次から次へと大忙しだわ……」
右舷一番艦品川前部の倉庫区画の大型木箱が立ち並んでいる場所にて、黒の六枚翼を背に担う第四特務であるナルゼが愚痴を宙に吐き出す。
それに構っていられる余裕はこの現場位にいない事は理解しているが、吐きたくもなる。
手にしている魔術式用のペンを軽く握りながら前方を睨む。
前方に降り立とうとしていた英国の女王の盾符。こちらは既に前提からして、かなり不利な状況なので、相手が誰かも確認せずに、初手を貰ったのである。
結果は目の前の蒸気が教えてくれるが
……はっきり言って、倒せたなんて思えないわよね。
この程度で終わる存在は役職者にいないと思った方がいい。
最近の傾向を考えてみても、英国の女王の盾符も、きっと濃い奴等に違いない。何せ、K.P.A.Italiaや三征西班牙の面々も全員濃い連中だけだったのだから。
これで、英国が濃くなかったら、恐らく世界にキャラで負けてしまうからそれはないだろう。
後ろには牽制の弓隊がいるが、当てにしてはいけないだろう。
彼等は訓練でしか、その弓を扱った事がない。
浅間とは違うのである、そう。
「何の躊躇もなく、人を射る浅間みたいな人非人と一緒にしてはいけないのよ……!」
『な、何をいきなり人を人外みたいに! 私がそんな喜んでぶった斬ったり、割断したり、全裸になったりする狂人と同じと思うんですか!? 私は射る事に喜んだりしてません。ただ、結果的に射る事で問題がなくなる事を喜んでいるだけです』
この狂人も言う事が違うわね、と思い、表示枠を無視した。
小等部入学式の縁日の時に、いきなり人を射つ人間は格が違うわね、と過去の記憶を思い直しても、思うんだから間違いない。
狂人は恐らく生まれた時からその素養を持つのだろう、とどうでもいいことを思いながら、視界に影を見つけた事で目を細める。
動きに傷などを慮っている様子はない。恐らく無傷である。
どうして、などと思う必要はない。
思う必要があるとすれば、ならば、である。
思考は行動に即繋がった。
腕は制服のポケットの中に入り、中にあるものを取り出す。そこにあるのは、中身自体はどこにでもあるような水が入った瓶である。
投げても、簡単に避けれるし、目とかに当たらない限り、ダメージにもならない。精々、相手が女だったら、制服が透けてサーヴィスショットになるくらいだろう。
周りの男連中は喜ぶそうだが、ありふれたネタなので却下だ。
斬新さが必要なのよ、斬新さが、と内心でコメントを言いつつ、水が入った瓶に、その魔術さを詰める。
魔術というのは自然や流体を数学的に捉え、加減算的に変質させる術式である。
そして、自分が使う白魔術は生成と回復を司る加算的な魔術
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