第五章
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「どの娘もね」
「可愛いか奇麗かだね」
「喉仏を見ないと」
さもないと、というのだ。
「わからないよ」
「そこまでだね」
「男はね」
こうもだ、ボリバルは言った。
「髭が生えるね」
「毎日剃ってるよ」
まさにとだ、沖村は答えた。
「僕はね」
「僕もだよ、もうそれはね」
「男なら普通だね」
「けれど」
それでもというのだった。
「あの娘達もだね」
「まあ二十代になるとね」
「毎日になるね」
「日本人は薄いけれどね」
「ああ、アジア系だとね」
「体毛自体がね」
髭だけでなくだ。
「薄いね」
「ああ、僕はあれだよ」
ボリバルはここで話した。
「メスティーソでね、スペインの血が濃いから」
「だからだね」
「毛深いよ」
自分で笑って話した。
「腕も胸もね」
「そうだね」
「ちなみにバスク系だよ」
ルーツを細かく話した。
「顔にも出ているね」
「ああ、バスク系は」
沖村もそれはと返した、注文したメニューはまだ届いていない。
「クロマニョン人の血が入っているね」
「そう言われているね」
「顔に出る人もいるね」
「僕もそうでね」
ボリバルは自分もと話した。
「僕と同じ姓のシモン=ボリバルも」
「中南米独立の英雄の」
「彼もバスク系でチリの独裁者だったピノチェトも」
彼もというのだ。
「バスク系だよ」
「そうらしいね」
「そしてキューバ革命の英雄チェ=ゲバラも」
「ああ、あの人はまさに」
沖村ははっとした顔になって応えた。
「そうした貌だね」
「クロマニョン人の顔だね」
「うん」
ボリバルにまさにと答えた。
「そうだね」
「そして欧州にルーツがあると」
「毛深くなるね」
「白人だとね」
「それでお髭もだね」
「少し油断すると」
笑って自分の顎をさすりつつだ、ボリバルは話した。
「もう顔の下半分全体がだよ」
「覆われるね」
「濃いのにね」
そうなるというのだ。
「まさに」
「白人の血が強いとそうなるね」
「アジア系と違ってね、しかし彼等も」
「生える娘が多いよ」
沖村ははっきりと言った。
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