第二章
[8]前話
今は学校を卒業して学校の教師として働いている学生は見学で蒸留所に来ている受け持ちの生徒達に引率としていてだ。
ウイスキー蒸留所の話をしてそうしてだった。
生徒達にタウザーの銅像を見せた、そのうえで彼等に話した。
「生涯で二八八九九匹の鼠を捕まえたのです」
「それは凄いですね」
「物凄い数ですね」
「よくそんなに捕まえましたね」
「二十三年生きまして」
猫としてはかなりの長寿である。
「そのうえで」
「それだけ捕まえたんですね」
「凄いですね」
「ギネス記録じゃないですか?」
「実際に記録になっています」
生徒の一人の言葉に頷いた。
「まさに」
「それはなりますね」
「そうしてウイスキーを守ってたんですね」
「原料の大麦を」
「今は衛生管理が進歩して」
そうしてというのだ。
「蒸留所に鼠がいなくなりました」
「そうなったんですね」
「そういえばかなり奇麗ですね」
「設備も最新で」
「これなら鼠も出ませんね」
「今いる子は看板猫ですが」
「ニャア」
見れば一匹の猫が蒸留所の中にちょこんと座っている。
「鼠を見たら逃げるそうです」
「タウザーと違って」
「今はそうですか」
「はい、ですがタウザーがウイスキーを守っていたことは事実です」
原料の大麦を狙う鼠を捕まえてというのだ。
「そのことは覚えておきましょう」
「わかりました」
「そうしていきます」
「タウザーがいたことは」
「そしてウイスキーを守っていたことは」
生徒達は笑顔で答えた、そうしてだった。
あらためてタウザーの銅像を見た、見れば彼女は誇らしげに胸を張っていた。自分は立派なことをしたと言いたげに。
タウザーの功績 完
2024・10・14
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