第一章
[2]次話
サイレントナイト
正月が終わってだった。
稲垣道夫のマンションの周りは急に静かになった、それで職場の同僚の鹿野正治と一緒にカラオケに行って言った。
「うちの近所今静かだよ」
「家の傍でかい神社あるよな」
「神宮がな」
こう鹿野に話した、大きなはっきりした顔で黒髪をショートにしていて顎の先は尖っていて面長である。背は一七三程で痩せていて色白である。
「あるんだけれどな」
「お正月が終わってか」
「もうな」
「一気に静かになるか」
「観光地だから人が来るけれど」
それでもというのだ。
「仕事から家に帰るともう夜だろ」
「ああ、それだとな」
「もうな」
それこそというのだ。
「すっかりだよ」
「静かになってか」
「それでだよ」
そうであってというのだ。
「寂しい位だよ」
「そうなるんだな」
鹿野はそ稲垣から話を聞いて言った、小さな細い目で表情はにこにことした感じだ、黒髪はスポーツ刈りであり丸顔だ、背は一七〇程で少し腹が出ている。二人共仕事帰りのスーツ姿である。
「あそこは」
「意外だろ」
「ああ、でかい神社があるからな」
神宮をこう言った。
「てっきりな」
「夜でも人が多いと思うよな」
「ああ、けれど違うんだな」
「これがな」
「お店も多いだろ」
「その店だってな」
神宮の前に並んでいるその店達もというのだ。
「夜はお客さんがいないから」
「静かか」
「何処も店閉めるの速いし」
そうであってというのだ。
「本当にな」
「静かか」
「そうなんだよ」
今は歌わず二人で飲んでいる、歌う方は今は鹿野が曲を選んでいるところだ。
「これがな」
「成程な、あんなところも夜は静かか」
「かなりな」
鹿野に言った、そして鹿野が曲を選び歌った、次は稲垣が歌った。
後日稲垣は鹿野に頼まれて夜に神宮の前に来た、すると本当にそれまでの道も神宮の前も人がおらず静かである。
それでだ、鹿野は稲垣に言った。
「肝試しも出来そうだな」
「ここにいるとな」
「そんな感じだな」
「そうだろ?だから近所の部屋にいても」
そうしていてもというのだ。
「静かなんだ、怖い位に」
「幽霊でも出そうな位か」
「人気を感じなくてね」
「マンションには人暮らしてるだろ」
「全階殆ど満室だよ」
「それでもか」
「うん、静かでね」
そうであってというのだ。
「うちのマンションの人達もの静かな人達ばかりで」
そうであってというのだ。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ