集結、そして新たなる敵
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部が変化した。黒いパーマをかけた髪が現われる。
仮面が次第に薄れていく。眼はまだ緑のままだがまず赤い部分が消えていき肌が露になっていく。
そして黒い部分も消える。アジア系の青年だった。精悍な顔立ちの青年である。
眼が緑のものから人のものになっていく。黒い瞳である。しかしその眼には感情は一切見られない。
バトルボディが消えていく。中からカーキ色の軍服が現われる。ソ連軍の軍服に似ている。引き締まり筋肉質の身体によく似合う。
「報告は聞かせてもらった。全てのライダー達を相手に見事な初陣だ」
「・・・・・・・・・」
ゼクロスは男の方を見た。無言のまま会釈する。
「首領も暗闇大使もお喜びだ。これならばライダーとて恐るるに足らず、とな」
ゼクロスはその言葉には答えない。首領や暗闇大使といった名に対しても反応しない。
「これから始まるであろう我がバダンの世界征服計画において君は重要な役割を果たす。その主な仕事はライダー達の抹殺だ」
「・・・・・・・・・」
「やがて次の作戦が下されるだろう。それまでは身体を休めておいてくれ」
ゼクロスは無言のまま席に着いた。男はそれを黙って見ていた。
(やはり感情は無いな。バダンの記憶除去、そして洗脳の技術はやはり完璧か)
男はそう思い忌々しげに顔をしかめた。
(実の姉を目の前で殺したうえで洗脳する・・・何という非道なやり方だ)
口には出せない。もし出したなら彼の命は無い。
(そして彼はその事を一切知らないままバダンの野望の駒にされていくのか。そしてその拳を血で染めていくというのか)
唇を噛んだ。血が滲み出る。だがそれには構わない。
(ライダーといえど彼には適わない。最早打つ手は無いか)
絶望が彼の心を覆っていく。暗澹たる思いだ。
「ライダー・・・・・・」
その時彼は無意識にその言葉を漏らしてしまった。それはゼクロスの耳にも入った。
「・・・ラ・・・・・・ライダー・・・・・・」
ポツリとゼクロスが言った。一言だけだが。そう、彼が言葉を発したのだ。
「何!」
男は思わず叫んだ。感情を全て消された彼が言葉を出す筈が無いからだ。
「ど、どういう事だ・・・・・・」
男は狼狽した。有り得ない事だった。
「もしかして・・・・・・・・・」
男の心に希望が宿った。光が今暗闇の中から甦りそれを打ち破らんと輝きはじめた。
集結、そして新たなる敵 完
2003・11・12
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