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イブニングスター
第一章

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                イブニングスター
 忙しい、それに尽きた。
 この時生徒会は多忙を極めた、それは書記の加納薫も同じだった。セミロングの黒髪をポニーテールにしていて大きなはっきりした目と明るい顔立ちを持っていて顔は小さい。背は一五六位で胸は程々だ。
 紺色のブレザーとグレーのミニスカート、紅いリボンと白いブラウスの制服姿でだ、今薫はやれやれとなっていた。
「本当に忙しいわね」
「仕方ないよ」
 会計で同級生の平野謙信が応えた、黒髪をショートにしていて細面で知的な顔立ちだ。薫の女子の制服のスカートがズボンにリボンがネクタイになった制服を着ていて絵は一七四位で痩せている。
「文化祭前だからね」
「忙しく当然ね」
「そうだよ」
「そうね、しかし部活出ようと思ったら」
 二人共美術部である。
「もうね」
「部活も終わる時間ね」
「そうよね」
「仕方ないよ」
 平野の言葉は落ち着いたものだった。
「これも」
「諦めるしかないってことね」
「帰ろう」
 薫に落ち着いた声で告げた。
「それじゃあね」
「わかったわ」
 薫もそれならと頷いた。
「そうするしかないね」
「うん、暗くならないうちにね」
 そのうちにというのだ。
「帰ろう」
「ええ、今からね」
「一緒に帰ろう」 
 平野は微笑んで誘いをかけた。
「駅まで」
「いいのね」
「いいよ、だって僕達ね」
「そうね、同じクラスでね」
「同じ部活でね」
「それでだし」
 関係を言葉の行間に入れて話した。
「そうしてもいいよね」
「お願いするわね」
「じゃあ帰ろう」
 二人で話してだった。
 そのうえで帰路についた、するとだった。 
 もう道が紫色になっていた、薫はその道を見て言った。
「アスファルトの青と夕暮れの赤が混ざって」
「道が紫になっているね」
「そうなってるわね、それでここから」
「夜になってね」
「道も黒になるわね」
「そうなるよ」
「そして暗くならないうちに」
 薫はそのうえでと話した。
「帰らないとね」
「女の子が夜に一人で歩いたら危ないから」
「そうよね、じゃあ寄り道しないで」
「一緒に帰ろう」
「それがいいわね、コンビニも寄らないで」
 駅前のというのだ。
「帰りましょう」
「そうしようね」 
 こう話して歩いていくうちにだ、薫はまた生徒会の話をしそうになった。兎に角忙しいと。だがそれは愚痴だと思ってだ。
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