宙への港の電人
[3/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ら果敢に世を乱さんとする悪に立ち向かっていった。
ジンドグマとの闘いも熾烈なものだった。しかし悪魔元帥を倒しジンドグマを滅ぼした。全てを終えた彼は自分の夢を実現する為に宇宙へ旅立ったのだ。
「丁度三ヶ月前に地球へ帰って来たんですよ。それまでミールにいました」
滝にコーヒーを勧めながら語った。
「へえ、ミールか。地球は見られたかい?」
「ええ。青かったですよ、とても。おっと、これはガガーリンさんの受け売りでしたね」
沖はそう言って笑った。屈託の無い爽やかな笑いである。
「ははは、そうだったな」
それには滝もつられて笑った。
「宇宙には無限の可能性があります。人間はそこに限り無い夢があるんです」
そう語る沖の眼は澄んでいた。まるで少年の様な瞳である。
「ああ、人間が宇宙へ旅立つ時代は近付いている。それは俺も感じている。あそこには果てしない希望がある」
滝は顔を見上げた。その眼は遠い宙を見ていた。
「だからこそそれを踏み躙る事は許せません」
沖の顔が険しくなった。
「・・・もうそっちにも話はいっていたのか」
「はい、インターポールの役さんから」
「そうか、だったら話は早いな」
滝の顔からも笑みは消えた。二人は宇宙から話題を変えた。
その頃センターの施設に隠れるようにして蠢く影があった。そしてマンホールを開けると中に入った。重いマンホールが閉じられる音がした。
影は下水道を通って行く。そして壁のある部分に近付くとそこを押した。壁が開いた。
その中に入った。そして壁を閉める。
暗く狭い道だった。その闇の中に影は溶け込んでいた。
影は進んだ。そしてその暗い道の果てに辿り着くとそこの壁を押した。
壁を押すと中に入った。中は赤い光に照らされた廊下だった。
廊下を進むと広い部屋に出た。そこは作戦室だった。一人の男が立っていた。
「何か変わった事は無かったか」
銀の兜と鎧、服に身を包みその上にギリシア風の赤い服とマントを身に着けている。白いその顔には髭がたくわえられており腰には剣がある。ドグマの最高幹部であったメガール将軍である。
かっての名を奥沢正人という。日本人の科学者であった。沖一也と同じく宇宙開発に従事する青年であった。抜群の記憶力と理知的な思考により将来を約束される程の優れた人物であった。いずれ宇宙開発の中心人物になるとまで言われていた。
これは公にはされていなかったがスーパー1以前にも宇宙開発用の改造人間を作り出す計画はあった。そして実行されていた。その計画に自ら志願したのがこの奥沢正人であった。
彼にとって不幸であったのは改造手術を執り行なったのがヘンリー博士ではなかった事である。そして最初の改造であった為何のノウハウも無かった。結果として改
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ