第四章
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「小宮山さんのこと言ってたわね」
「ああ、小宮山悟さん」
千佳はすぐに応えた。
「ロッテと横浜にいた」
「メジャーに行ったこともあったね」
「あの人ね」
「あの人球速は普通だったのよね」
「そう、それでね」
実際にこの人のことを調べていて知っているので答えられた。
「スライダーにシュートでね」
「左右に揺さぶって」
「スローカーブやチェンジアップで」
今話している遅いボールでというのだ。
「緩急も付けてね」
「投げてたのよね」
「ミスターコントロールって言われてて」
この人の最大の特徴も話した。
「兎に角ね」
「コントロールがよかったのね」
「マウンドで上中下右中左合わせて九つにね」
その様にというのだ。
「ストライクゾーンが見えていて」
「そこに投げていたのね」
「調子がいい時は」
その時はというと。
「立体的に三段でね」
「合わせて二十七ね」
「ストライクゾーンが見えていたそうよ」
「それは凄いわね」
「頭脳派で知られていて」
解説でもそれは有名である。
「物凄かったのよ」
「その小宮山さんも」
「そう、緩急よね」
「凄いピッチャーだったのよね」
「そうよ、あの人のことも考えたら」
千佳は真剣に考える顔で話した。
「そうしたピッチャーも必要ね」
「そうね」
「野球にはね」
「カープにもね、打線をどうにかして欲しくても」
ここでも今のカープについて思うことを話した。
「そうしたピッチャーもね」
「必要ね」
「野球には」
「ただ速球や凄い変化球投げるだけじゃなくて」
「遅いボールや緩急もね」
「必要よ」
クラスメイト達にも話した、そして今のカープでそうしたピッチャーがいるかどうか確認もしてこの人を使って欲しいとも思ったのだった、だが。
家に帰って夕食の時にだ、兄にこのことを言われると。
「うちも負けていないから」
「遅いボールでもか」
「そうよ、今年こそ優勝するから」
「阪神が優勝だよ」
「遅いボールにてこずらせてやるわ」
「うちは伝統的に投手王国だぞ」
兄と言い合った、そのうえで美味い夕食を食べたのだった。
スローボールも武器 完
２０２５・２・２５
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