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仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
熱砂の騎士
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クベスは夫人の言葉に従い一人ずつ隙をついて倒していった。しかしその中の一人バンクォーの遺児マルコムとマクベスにより家族を殺されたマクダフがイングランドと結び反乱を起こした。彼等はバーナムの森の木を切り、その枝を手に取り進軍してきた。
 それに対しマクベスもうって出た。激しい戦いとなった。騎士達もマクベスに従い戦った。戦場となった平野は朱に染まり血煙が草を染めた。
 マクベスは強かった。自分は女の腹から生まれ出た者には負けぬと豪語するだけはあった。だがマクダフとの一騎討ちに敗れた。彼は母の腹を蹴破り取り出された者だったのだ。
 マクベスは死んだ。彼に助言を与えていた夫人も既に病により世を去っていた。一説によると心を患っていたという。以後彼の名は主君を暗殺した簒奪者の代名詞となった。歴史とは時に人を弄び残酷な役割を担わせる。それにより貶められた者も多い。
 彼に仕えていた者達はある者は降りマルコムやマクダフに従った。だがある者は尚も彼等に従おうとせず抵抗を続けた。捕らえられ処刑される者もいれば森や山に逃れ続けつつ戦う者もいた。
 ある騎士もそうであった。彼は森の中に逃れ主君の仇を取るべく戦い続けたのだ。
 だが彼は知らなかった。主君マクベスが何故王の座に就いたかを。それは魔女の予言に基づくものだったのだ。
 森には多くの者が潜む。彼のように世の目を避けなければならない者の他には獣もいた。そしてこの世に有らざる者達も。妖精が魔物、そして彼等を崇拝する者達が。マクベスに予言した魔女達もそうした者達だったのかもしれない。
 森に潜むうち彼は一人の魔女と知り合った。そして彼女と交わり一人の子供を生み出した。
 彼は外見は人間であった。しかしその力は人間のものではなかった。
 長じて彼は親から離れ森を出た。そして漆黒の鎧を身に纏いブリテンの夜の世界に入ったのだ。
 何時しか人々は夜を恐れるようになった。夜の闇の中から首の無い馬に乗った黒い騎士が現われるからだ。
 その騎士は人を見ると斬った。斬られた者は首を持って行かれたそのまま魂も地獄に持って行かれると言われた。
 ある夜の話だ。ロンドン塔にて一人の兵士が詰所で番をしていた。そこへ一人の騎士が現われた。
 黒い闇の様な服を着た騎士だった。彼は何かを手にしていた。
 「この者の魂確かに貰い受けた」
 彼はそう言うと手に持つ何かをテーブルの上に置いた。それは王妃の首だった。
 暫くして王妃は王に不倫の嫌疑をかけられ処刑された。その騎士が何者か王妃の処刑を見届けた後兵士は理解した。
 この騎士はやがて姿を消した。だが何処へ去ったのか誰も知らない。ある者は言う。去ってはいない、夜の闇の中から我々を狙い続けているのだと。
 夜の中に消える者は多い。幾人かは彼に地獄へ連れて行かれたのだという。

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