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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#3
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ていたな。あれは?」

 あれ?誤解を解いたはずなのに、何故かレド様の形相が変わらない…。

「あ、あれはですね…、ちょっと“魂魄の損傷”について調べていたので、その…、何か手掛かりになるようなことを聴けないかな、と思った次第でありまして…」

「それについては、時間ができたら、アルデルファルムと鳥に、俺たちの魂魄を視てもらうのではなかったか?」
「その…、ちょっと下調べをしておこうかな、と…。そちらからも何か情報が得られたら、いいのではないか、と…」
「リゼ?」
「ぅ、だ、だって、やっぱり心配ですし…」
「それなら、当事者である俺たちもやるべきだろう。何故、リゼ一人がやるんだ」
「その…、眠る前にノルンに頼んでちょっと検索してもらうだけですし、魔力や労力を使うわけではないので、私一人でも十分というか───お忙しいレド様たちのお手を煩わせることでもないかな、と…」
「ほう、魔力も労力も使わないのか。だったら、“忙しい俺”にもできるはずだな?」
「え、ぅ、そ、それは」
「食事を終えたら、判ったことを教えてくれ。それと、これからどうするつもりでいるのかもだ」
「……はい」

 ああ…、結局、レド様にお手間をかけさせることになってしまった…。

「そうと決まったら、早いところ食事を終えよう」

 レド様はそう言って、フォークとナイフを握り直して、和風ハンバーグへと視線を落とした。

 私も卵焼きにお箸を伸ばそうとして────ジグに、一番気になったことを聴けていないことに気づいた。

「ジグ───それで…、前世のジグは無事に自立できたの?」

 ジグは一瞬、虚を衝かれたような表情をして────すぐに口元を緩めた。

「ええ。ちゃんと自立して────実家と縁を切ることができました。まあ、時代が時代でしたから、その後も嫌な思いをすることもありましたけれど、気の置けない仲間にも出会うことができましたし────割と楽しい人生を送れたのではないかと」
「そう…。それなら、良かった」

「まあ、今世の方が断然、楽しいですけどね」
「そうなの?」
「ええ。今世では────リゼラ様に出逢えましたから」

 ジグの頭をすかさずレナスが(はた)いた音と、『まったく、油断も隙も無い』とレド様のぼやいた声が、思わず零れた私の笑みに紛れて聞こえた。

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