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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#3
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の祖母”がご馳走してくれた“和風ハンバーグ”だ。

 何故か、【創造】で創ることができなくて───記憶を頼りに試行錯誤して、やっと記憶にあるあの味に近いものができたのだ。

 一連の騒動でお出しする機会を逃して以来、すっかり忘れていた。

「私にとっては、思い出の味なので────是非、レド様にも味わっていただきたいです」
「そうなのか。それなら、俺としてもそれを食べたい。────ジグ、オムライスは譲ってやる」
「……それは、ありがとうございます」

 白炎様に対するような───例の微妙な表情でジグがお礼を言う。

 オムライスは多めにストックしておいた方が良さそうだ…。

 まあ、ジグの場合、オムライスが特別に好きというより、いつもレド様が優先的に食べるため、食べる機会が少なくて久々に食べたかっただけだと思うけど。

 そんなことを考えながら、塩むすびに口を付ける。

「リゼラ様───塩むすび、オレもいただいてよろしいですか?」

 そう声をかけられて振り向いたら、レナスはもうカツ丼を食べ終えていた。早い…。

「勿論、どうぞ」
「ありがとうございます」

 レナスはお礼を言って、塩むすびを一つ掴んで齧り付いた。

「レナスの前世は、リゼの前世と故郷が同じなんだったな。やはり、リゼの作る料理が懐かしいのか?」

 嬉しそうに塩むすびを頬張るレナスを見て、レド様がレナスに訊ねた。

「確かに、リゼラ様と前世の故郷は同じだったようですが────料理に関しては、前世のオレが食べていたものとは、かなりかけ離れていますね。
“米”は作っていましたが、あれは税として納めるもので────本当に特別なときしか食べられませんでしたし、ここまで美味しくはありませんでしたよ。
トンカツや唐揚げ、オムライスやハンバーグに至っては、存在すらしていませんでした」
「そうなのか?」

「リゼラ様曰く───故郷は同じでも、生きていた時代が違うとのことです」

 軽く話を聴いた程度で、まだきちんと検証できていないが────凡そ500年は開きがありそうだ。

 主食が“(あわ)”や“(ひえ)”の“雑炊”だったということ、食事が朝夕の二食だったということ、加えて“年号”自体を知らないということを鑑みると────確か、食事が一日三食になったのも、年号が庶民に伝わるようになったのも、“江戸時代”だと何かで読んだ覚えがあるから、その記憶が正しいなら────レナスが前世、生きていたのは、おそらく江戸時代よりも前…、“戦国時代”以前だ。

 西暦が明らかな歴史的事件を幾つか挙げてみたけれど、レナスの記憶にはないようだった。

 けれど、これに関しては、時代がずれているからなのか、居住地が地方だったために情報が届
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