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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#2
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ましょう」
私がそう促すと、誰からともなく歩き出した。
だけど、ガレスさんの幼馴染の“記憶持ち”がエイナさんで良かったかも。
“魂魄の損傷”の詳細が判って、何らかの処置が必要となったとき、エイナさんなら打ち明けやすいし、受け入れてくれそうだ。
それにしても────エイナさんも前世では商人だったかもしれないのか。2人ほど“記憶持ち”の知り合いがいるが、それぞれ前世は商人と冒険者だと言っていた。
前世のエルも商談などで各地を巡ってたみたいだったし────“記憶持ち”は旅に出る傾向でもあるのかな。
そういえば、魂魄に傷を負って“忘却障害症”になった場合って、代を重ねたら、どんな記憶になるのだろう。
前世の記憶がある状態で生きていた記憶を、また受け継いで────どんどん、それが積み重なっていくのだから、記憶がごちゃごちゃになってしまいそう────
─────記憶がごちゃごちゃに?
前世は商人だというその知り合いも、エイナさんと同じようなことを言っていた。『あまり覚えていないが、多分、商人だった』───と。
冒険者だったという知り合いもだ。その人は今世でも冒険者を生業としているので、私が『前世の記憶が役立ちますね』と振ったら、『よく覚えてないから、そうでもない』と言っていた。
もし────あの人たちも、エイナさんみたいに色々な場所の記憶が断片的に残っていて、エイナさんと同じように考えて────商人あるいは冒険者だったのかもしれないと思っているのだとしたら────
「リゼ?」
レド様に心配そうに声をかけられて、私は我に返った。いつの間にか、目的の酒場に到着している。
「どうした?まだ疲れがとれていないのか?」
「すみません、レド様。ちょっと考え事をしていたもので」
「気にかかることでもあるのか?」
「帰ったらお話しします」
「絶対だな?」
念を押すレド様に苦笑しながら、私は頷く。
「ほら、リゼちゃん、イチャついてないで酒場に入るわよ」
「いや、今の遣り取りのどこがイチャついていたように見えるんですか」
「全部」
……エイナさんってほわほわした外見とは裏腹に豪快なお姉さんのように思っていたけど、意外と恋愛脳なんだな。
手を繋いだままだし、レド様が私の表情を見逃すまいと顔を近づけているから、真正面から見つめ合っているような態勢だけど────別に普通に話していただけだし。
それなのにイチャついているように見えるのは、エイナさんが恋愛脳なせいに違いない────多分、いや、きっと。
「と、とにかく酒場の中に入りましょうか───レド様」
「ああ」
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