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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#2
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“一度目の人生”で刻み込まれた傷は、そう簡単には癒えるものではないだろう。

 それでも…、ほんの少しだとしても、今のエイナさんの言葉でレド様の傷が癒えてくれたならいいな────そんなことを願いながら、私はレド様の右手に自分の左手を絡ませて、身体を寄せる。条件反射のように、レド様は私の左手を握った。

「……ガレスとセラちゃんが言っていたのは本当だったのね」
「え?」
「あのリゼちゃんが所かまわず恋人とイチャついてると聞いて、『ウソだ〜』とか思っていたんだけど────まさか本当だったとはね…」
「え、いや、そんな────所かまわずイチャついてなんていませんよ?!」
「ええ?それじゃ、その手は何?」

 レド様と私の繋がれた手を見遣って、エイナさんはニマニマ笑う。慌てて手を放そうとするも、レド様が放してくれない。

「いいのいいの、恥ずかしがることないわ。付き合い始めというのは、そういうものよ。あたしとバドだって、ガレスによく言われたもの───『所かまわずイチャつくな!』って。
それにしても…、あの───そこらの大人より大人びていて、どんなときでも冷静で、誰に対してもクールなリゼちゃんが、恋人をつくって人前でイチャつくようになるなんてね〜。
しかも、相手は顔良し頭良しの能ある皇子様!まさに最強夫婦!」
「いや、何ですか、その『顔良し頭良しの能ある皇子様』って…」

 確かに、レド様は顔も頭もいいし、文武に限らず、あらゆる方面に才覚がありますけども。

「それに、『最強夫婦』って────エイナさんは、時々、ガレスさんみたいなことを言いますよね…」
「そりゃね、ガレスとは兄弟みたいに育って、冒険者になってからもずっと一緒だったからね────考え方とか言い方とか似てるのは当然よ」
「え?エイナさん、ガレスさんとは幼馴染なんですか?」

 現役時代、同じパーティーに所属していたとは聞いていたが────幼馴染とは知らなかった。

「あれ、聞いてない?そうよ〜、小さい頃は本当の兄弟だと思ってたくらいだったんだから。ガレスの方も、あたしのこと実の“弟”だと思ってたみたいよ」
「“弟”?────“妹”ではなく?」
「うん、“弟”。ガレスは、あたしが怒ると思って隠してるけどね。あいつ、確実にあたしのこと男のように思ってたわ。まあ、あたし自身、子供の頃は自分が女だっていう自覚がなかったのよね。女の子と遊ばないで、男の子に混じって騎士ごっことかしてたし」
「そうだったんですか」

 そんなに意外でもないかな。エイナさんは一見ほわほわした和やかな感じだけど、弓を担いで一人で魔物を狩りに行っちゃうような人だ。

 まあ、でも───何だか納得した。ガレスさんとエイナさんの遣り取りが気安いものだったのも、かつてパーティーを組ん
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