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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#2
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ユリアさんと話すだけなのに、一体何を心配されているのですか…。
「………アレドさん、応接室でギルドマスターがお待ちだと思いますよ」
何を察したのか、セラさんが般若のようなナニカを背負って、にこやかに促す。これは早々にこの場から退散した方が良さそうだ。
「そ、それでは、レド様───ユリアさんとのお話が済み次第、向かいますので」
「ああ、また後で」
私はレド様とレナスから離れて、姿をくらませたままのジグを連れ、ユリアさんの許へと歩み寄る。
「こんばんは、ユリアさん」
「リゼラ様───お忙しいところ、お時間をとらせてしまい申し訳ありません」
ユリアさんとは、ベルロさんの護衛依頼を通して知り合ったのだが────何故だか、初対面のときから私に対して様付だ。
言葉遣いや所作から貴族出身に見えるので、私の素性を知っているのかもしれないと最初は警戒したものの、敵意や害意は感じないし、仕事ぶりを鑑みても悪い人には思えず、とりあえず当たり障りなく接している。
「いえ。私に何かご用とのことですが…」
「こちらをお返ししたくて────どうも、ありがとうございました」
そう言って差し出されたユリアさんの掌に載っていたのは、スタンピード殲滅戦で私が貸し出した短杖だった。
ギルドに頻繁に出向いてはいたけど、ユリアさんとは会えていなかったから、返してもらう機会もなかった。
ユリアさんは律儀そうだし────ずっと気にかかっていたのだとしたら申し訳ないな。
「わざわざ、すみません。────この杖、使い勝手はどうでしたか?」
私が訊くと、ユリアさんは、ぱっと表情を変えた。
「とても使いやすかったです!袋を出し入れする手間がなかったので、発動したいときにすぐに発動できました!それに、剣との切り替えもスムーズにできました!」
ユリアさんは、興奮気味に一気にまくし立て───驚いて目を瞬かせた私に気づいて、さっと顔を赤くした。
長身で端正な顔立ちのユリアさんは、綺麗というか凛々しい女性で、表情を大きく崩したところを見たことがなかったので、何となく“クールビューティ”な印象を持っていたのだけど────
「も、申し訳ありません…、つい興奮してしまって…」
そう呟いて縮こまる様が何だか可愛くて、私は思わず笑みを零してしまった。
「いえ。それなら良かったです。魔術陣を固定していた部分はどうでしたか?ちょっと緩くて外れそうだったとか、逆に強く固定し過ぎて魔術陣に傷がついたとか───そういった問題はありませんでしたか?」
実は、この杖はセレナさんのために創ってお蔵入りした試作品の一つで────魔術陣では験したことがないまま、ないよりはいいかなという考えで貸し出してしま
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