暁 〜小説投稿サイト〜
コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#2
[2/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
とだ。

 ヴァルトさんは、すごく意外なことに下戸なのだそうで、宴会は行ってもそれほど楽しめないらしい。

 それなら誰かと手合わせをしている方がいいと言われて、何だか妙に納得してしまった。ディンド卿かハルド辺りが付き合わされることになりそうだな。


「酒場に行く前に、ギルドの方に寄って行かれるのですよね?」
「ああ。ちょっとガレスと話さなければならないことがあってな」

 魔物や魔獣の解体はどうにか終えたものの、しなければいけないことは、まだまだある。

 今回の場合、誰がどれくらいの魔物を討伐したか判別することは不可能なので────肉や魔石、その他買取可能な素材をすべて換金して、報酬は現金のみで一定金額を支払い、働きに応じて褒賞金という形で上乗せすることになっている。

 肉も素材も大量過ぎて売り捌けるか心配されたが────サヴァル商会とベルロ商会が、採算が取れないのを承知で、かなりの量を買い取る旨を申し出てくれている。

 私とレド様は、鞣革や魔石などはサヴァルさんとベルロさんに回し、日持ちしない肉を可能な限り買い取らせてもらうつもりだ。

 レド様が買い取った肉の一部は、おじ様の勧めで貧民街で配付するみたいなので────私の方は、自分の所有する孤児院に回すのは勿論、もう一つの孤児院に寄付しようと考えている。


 冒険者ギルドに辿り着いて扉を潜ると、まだ夕暮れの頃合いだったが、冒険者たちは早々に打ち上げ会場へと向かったのか、数えるほどしか人はおらず閑散としていた。

「こんばんは、セラさん」

 カウンターで依頼書の処理をしているセラさんに、邪魔してしまうことをすまなく思いつつも、声をかける。

「こんばんは、リゼさん、アレドさん。ギルドマスターとの面会の約束ですよね?応接室へどうぞ」

 お礼を言って向かおうとしたとき────セラさんが、ちょっと慌てた様子で付け足す。

「あ、リゼさん。ユリアさんがリゼさんに何か用事があるみたいで────少しだけ時間を取って欲しいとのことです」
「ユリアさんが?」
「はい。あちらで待っています」

 セラさんの右手につられて視線を向けると、そこにはソロのBランカー冒険者───ユリアさんがいて、申し訳なさそうに会釈をした。

 レド様と別行動することに少し躊躇ったけど────時間がないし、何かあっても駆け付けられる距離だからと自分に言い聞かせる。

「レド様、すみません。私はユリアさんのお話を聴いてから向かいます」
「……解った」

 レド様は言葉とは裏腹に、何だか納得していなさそうな表情で頷く。

≪ジグ、頼んだぞ≫
≪は───お任せを≫

 いや、レド様───それは、私とレナスがするべき遣り取りだと思うのですが…。ただ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ