九十四 不?戴天の敵
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ばかりに、朱色の瞳と眼が合った。
【写輪眼】。
「闇あっての光…必要悪のありがたみを思い知れ」
項垂れた小南が、本物の水面にどしゃりと崩れ落ちる。
やがて雨隠れの里には珍しく、陰鬱な空が明るくなってくるのを見て取って、仮面の男は顔を上げた。
重く垂れこめた雨雲。
そこから射し込む光を浴びて、倒れ伏した天使が眩い陽の光に照らされる。
止むことのない雨隠れの雨。
空に掛かる七色の架け橋を仰ぎ、仮面の男は天使を見下ろした。
「六千億枚の起爆札…いっぱいくわされたが、この七色に輝く虹を見られなかったおまえの苦汁と比べれば、多少はマシな味だろうさ」
先ほどの戦闘が嘘のように穏やかに凪いだ水面。
雨隠れの里に秘かに隠された厳かな神殿内で、足音が響く。
無数に敷き詰められた花の中。
そこに眠る人間はふたり。
橙色の髪の男と、赤髪の男。
彼らの顔を覗き込んで、仮面の男は面奥の瞳を細める。
やがて音もなく立ち去ったあとには、紙で形成された美しい薔薇だけが残されていた。
長閑な光景。
一見平和な道中にて不穏な気配が微かに漂う。
息を潜めて此方を窺う忍び達の気配を感じ取り、志村ダンゾウは呆れたように杖を叩く。
忍びの闇と謳われた自身に気づかれるようでは、たかが知れているな、と嗤うダンゾウの顔色を両隣の部下が窺う。
「ダンゾウ様…」
「如何なさいますか?」
五影会談へ向かう最中。
護衛として連れ添いを許した両者へ、ダンゾウは「うむ」と頷いてみせる。
己が五代目火影の椅子に座る為に綱手を葬った功労者ふたりへ手出し無用とばかりに下がらせ、ダンゾウは右目を覆う包帯に手をかけた。
「久しぶりの実戦…鈍った身体を動かすにはちょうどいい…」
すぐにでも襲い掛かってくる忍び達の気配が、しかしながら次の瞬間、跡形もなく消え去る。
疑問を覚えたダンゾウの周囲が妙な静けさに包まれた。
ややあって、ドサドサと複数の忍び達が山積みになって地面に墜落してくる。
墜ちてきた忍び達は何処かで見覚えのあるお面をしていた。
以前、ダンゾウが【根】に命じて暗殺した林の国の般若衆の暗部の残党。
何れも気を失っているようで、益々気味が悪い。
寸前までのお粗末な気配はこの残党連中で間違いないだけに、目の前の不可解な光景を前にして、ダンゾウは眉を顰めた。
ダンゾウを庇うように、彼の護衛として連れ添ってきたサイが立ちはだかる。
【根】の一員として部下として、春野サクラがダンゾウの背後で警戒態勢をとった。
「……随分と、恨
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