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渦巻く滄海 紅き空 【下】
九十四 不?戴天の敵
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もアナタを…」
「やめておけ…自ら散りゆく花ほど儚いものはない」


露わになった【写輪眼】が朱く廻る。


「自分で自分の首を絞める無駄な行為はやめろ。長門と再会させてやるというのに…」


更に煽る仮面の男に、小南は唇を噛み締めた。
より一層膨れ上がる殺意に刺されながらも、仮面の男は言葉を止めない。

「ふたりで懺悔するがいい」


そこでようやく、呼吸を整えた小南は瞳を閉じた。
やがて見開いた瞳は殺し損ねた絶望ではなく、紛れもない純然たる殺意。


「懺悔するのはアナタだ…自分が何故裏切られたかもわからない愚かな闇…」

小南の発言を仮面の男は唇を歪めて、一蹴に付す。


「…それより、秘策も万策も尽きたおまえのほうこそ神に縋ったらどうだ?長門ではなくペインでもない、本物の神にな」

仮面の男の挑発に乗って、「黙れ…ッ」と天使は声を荒立てる。


「光のない世界では花は枯れるしかない…!」

腕に巻き付く紙吹雪。
否、腕から剥がれゆく紙の嵐が、仮面の男目掛けて飛び交う。

同時に、足元が崩れて、仮面の男はガクリと体勢を崩した。
浮遊感。


「…ッ!?」
「平和への光に満ちた世界に闇は必要ない。一片も残さず、消え去るといい!」


水面が、割れる。
いや、水に見せかけていたそれらは全て────。



「アナタを殺す為に用意したこの六千億枚の起爆札…たんとおあがりなさい」


波が割れる。巨大な本がめくれるかのように。迫りくる壁。
波の水滴ひとつひとつが紙でできており、何れも殺傷力のある起爆札ばかり。

これこそが秘策。
これこそが憎き敵を葬り去る紙の棺。


「────お味はいかが?」








膨大な量の起爆札だけでも厄介なのに、十分間起爆し続ける凶悪な波に呑まれた仮面の男の行く末を、天使は非情な顔で見下ろしていた。

波が激しく揺れる。
水中で白煙が立ち上り、瀑布が下から爆ぜる。



やがて静まった水面上で、羽を休めた天使は荒い息をついて膝をついていた。
背中に生えていた翼が維持できずに空中分解してゆく。


【神の紙者の術】が解けてチャクラを使い果たした彼女は、今や天使からただの人へ堕ちていた。

それでもこれで。


「これで…マダラは…確実に…」







「おまえは俺を闇だと言ったな」






背後からの声。
反射的に振り向こうとした小南の細い首に手が伸びる。


「恵みの雨を与え過ぎれば、根が腐って花は枯れる。正義を振り翳すだけでは平和は成り立たんよ」

背後から首を絞められ、苦し紛れに振り返る。
待ち構えていたと
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