第一章
[2]次話
豪華な地下室
家を継ぐことになり静岡の実家に戻ってだ、これまでは東京でサラリーマンをしていた大石浩光長方形の顔で黒髪をスポーツ刈りにしていて丸く小さな目と大きな唇を持つ長身でがっしりした体格の彼は隠居する両親に言われた。
「あの防空壕リフォームしたのか」
「そのままでも何だしな」
「そうしたのよ」
父で大きな茶畑を営んでいる国友息子にそのまま遺伝を受け継がせている外見の彼と母の香澄黒髪を後ろで団子にした丸顔で穏やかな顔立ちの小柄な彼女が応えた。
「洋室にしたのよ」
「お金もあったしな」
「そうなんだな、まあな」
浩光は両親の話を聞いて頷いた。
「防空壕もな」
「ずっとそのままでもな」
「仕方ないでしょ」
「そりゃ何時何があるかわからなくて」
両親にそれでもと話した。
「若しまた戦争になったら」
「避難も必要だな」
「それで防空壕みたいなところも必要ね」
「今はシェルターだよ、けれど」
「ああ、戦争中のものなんてな」
「今時ね」
「少なくとも今は平和だし」
このこともあってというのだ。
「リフォームもいいな」
「ああ、今は地下室だ」
「そっちも宜しくね」
「わかったよ」
浩光は両親の言葉に頷いた、そうしてだった。
家を受け継ぎサラリーマンから茶畑の経営に入った、元々農業高校で大学もそちらで会社の方もお茶関係だったので仕事が問題なく出来た、実はサラリーマンになったのも家を継ぐ前の修行であったのだ。
だから家の仕事は何も問題なく行えた、むしろよく出来てだ。
家の仕事はよりよくなった、その中で結婚もしてまずは息子の正博が一年後で娘の公子が生まれた。息子は父親そっくりで娘は妻の由美子茶色の短い髪の毛で八の字の細長い眉に大きな丸い目と丸い顔を持つ外見である。子供達はすくすくと育ったが。
「またなのかい」
「ええ、地下室で遊んでるわ」
妻は夕食前に夫に答えた。
「お勉強したりしてね」
「自分達の部屋はあるのに」
昔ながらの農家で家は大きい、今では自分達の家族の為の家と両親の家まである位だ。
「地下室に行くんだ」
「あそこは立派な洋室で冷暖房もあるでしょ」
「冷暖房なら家全体に効いてるじゃないか」
「それでもよ。テレビもソファーもあって」
「テーブルもあってだね」
「快適だから」
それでというのだ。
「二人共学校から帰ってね」
「塾や習いごとがなかったら」
「あっても行く前や帰った後はよ」
そうした時はというのだ。
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