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ツバサ -DECADE CHRoNiCLE《ディケイドクロニクル》-
第27話:この世界のシンジツ
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ド。今この世界で何があったのか、何が起きようとしているのか」

余裕たっぷりの笑顔を見せるエンプティに対し、士とピクリと眉を動かす。
その様子に小狼は気づき、士の顔色を伺う。
士はチラリとエンプティの顔を一瞥した後、いつものような太々しい態度で物申した。

「もったいぶらず話せ。俺達はこう見えて忙しいからな」

「それは失礼、じゃあ早速本題に入らせていただこう」

士の偉そうな言葉を軽く返すと、エンプティはとあるものを取り出す。
それはいくつもの紋章が描かれた紙であり、士と夏海はそれらを見て見覚えがあった。
何故なら紙に描かれている紋章は自分達が巡ってきた仮面ライダーが表すライダーズクレストだからだ。
キバ。
電王。
カブト。
響鬼。
剣。
ファイズ。
龍騎。
アギトとクウガ。
それらが長机の上に置かれると、エンプティは話し始めた。

「いくつもの次元、いくつもの世界に様々な仮面ライダーが生まれた。彼らは自分の生まれた世界で別々の物語を描いた」

「別々の世界の仮面ライダー?」

「ああ、そうさ。彼らの物語は実に豊潤で一言では収まりきらない」

サクラの言葉と共にエンプティが語るのは、とある英雄達の物語。

――ある者は創造主から齎された力をかけがえのない人々のために戦った。
――ある者はたった一つの願いを叶えるために鏡の世界で死闘を繰り広げた。
――ある者は死を乗り越えた者達が支配する世界で闇を切り裂き、光をもたらした。
――またある者は不死の生物との戦いを再び始め、戦いを終わらせた。
――時には時代を超えて、戦国の世に魔物から人々を守る鬼として戦った。
――決められた結末を引っ繰り返すために、時空を超えて歴史を変えた。
――また世界を超えて人々の大切な記憶と時間を守るために戦った。
――ある者は古代から復活した魔王との因縁に導かれ、運命の鎖を打ち砕いた。

それは、とある英雄達の『激情の戦い』。
自分達が知らない、別の世界での『仮面ライダーの物語』。
士達は聞き入るようにエンプティの話を聞いていると、エンプティが真剣な声で告げた。

「本来ならば交わることのない別の世界……だがある日、いくつもの世界は融合した」

「「えっ!?」」

「ゆ、融合したのですか!?」

エンプティの衝撃の事実を告げられ、小狼とサクラは驚き、夏海は思わず聞き返した。
ただ一人士が無言で見つめる中、エンプティは机に置かれた紙を集める。
一まとめにしたそれを再び机に置いて、エンプティは話を続ける。

「それぞれの世界は衝突し、混ざり合い、まるで最初からそうだった(・・・・・・・・・)ように新しく存在することとなった。知らない異形の存在も、未知の大自然の戦士達も一緒に」


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