第十話 奈良においてその二
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「態度でかいよな」
「そうだよな」
「子供の弁当まで奪って」
「何処まで偉そうなんだ?」
「人間みたいな奴等だな」
実際にそこまで傲慢な彼等だった。
「ところでだ」
「はい、ボス」
「どうしたんですか?」
皆でドギーの言葉に問う。
「それで何かあったんですか?」
「まさか敵が」
「違う、子供だ」
彼がここで言うのは子供についてであった。
「あの弁当を食べられている子供だが」
「あっ、そうですよね」
「子供が」
皆もそれを聞いて言うのだった。
「お弁当食べられてるし」
「それだったら」
「そうだ。とりあえず弁当を買おう」
当然その子供の為のものである。
「それでいいな」
「そうですね。じゃあ」
「今から」
「カレー弁当がいいか」
ドギーは少し考えてからそれにしようと言った。
「それもカツカレーだな」
「何でそれなんですか?」
「確かに美味しいですけれど」
「ここにも恐竜屋があると思うからだ」
それが理由であった。
「あそこは弁当もやってるからな」
「その通り!」
ヤツデンワニまでいる。とにかく全員で来ているのである。
「ワニはお弁当も大好き!ちゃんと進出している!」
「じゃあそれで」
「カツカレー弁当で」
「早く買いに行って」
「それであの子供に」
「ただ。注意するのは」
走がここで言う。
「鹿がカツカレーまで食べるかどうかだけれどね」
「ああ、有り得ますね」
凌駕が彼のその言葉に頷く。
「お肉まで食べてますし」
「鹿って雑食?」
「お肉まで食べるって」
皆で言い合う。確かにこれはかなり疑問に思うことだった。
「鹿って草食なんじゃ」
「何でお肉まで食べるの?」
「しかも調理したのを」
「確か」
ここで言ったのはことはだった。
「お姉ちゃんが言ってたけど」
「あれっ、ことは」
「何かあったの?」
「奈良の鹿は何でも食べるって言うてたから」
「何でもって」
「それでお肉までって」
それを聞いてもあまり信じられない一同だった。何しろ鹿は草や煎餅を食べるということが彼等の中で常識であったからである。
「実際に見ても信じられないし」
「そうよね」
「見てはいけないものを見てしまった感じ」
「雑誌まで食べてるし」
「どうやらかなり危険な生き物みたいだな」
月麿もそう見ていた。
「俺のいた頃も奈良の鹿はいたが」
「こんな感じだったの?」
「やっぱり」
「いや、その頃奈良に来たことはなかった」
だがそれはないというのだった。
「残念だがな」
「そうなのか」
「じゃあ何時からこんなことになったかな」
「前からかな」
「そういえば奈良の人達は」
ここで鹿達を見ながら話す。
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