§42 深淵の扉
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らば。
「邪眼に身体強化に完全再生。どう考えても呪力使いすぎでしょ」
だが。権能を乱発するほどの呪力は存在しない。
「「「……!!」」」
声にならない驚愕。直後、偽物の身体が霧散する。一人崩れれば、あとは早い。
「再生を使わなければもうチョイ顕現していられたんだろうけどさ。まぁ、無理だわな」
化けるのならば黎斗では無く教主をやるべきだった。もっとも、そしたらそしたで張り巡らしたこの鋼糸で粉微塵にするだけなのだけれど。
「大猿も片付けたし、あとはお前だけかな」
意気揚々とする黎斗だが。
「ふむ。愉快なことになっているな」
「……アンタ誰?」
天馬に跨って謎のイケメン。かなりの遣り手であるのはわかるのだが、果たして彼は敵か味方か。
「兇族の魔手より分体で逃れ身体を休め。この地の神殺しに再戦を果たさんといざ来てみれば件の神殺しは雲隠れ!! なればこそ、君を倒してこの地の神殺しへの置きみやげとしよう!」
言うが早いか弓を引くイケメン。神速で飛来するそれを打ち払い叫ぶ。
「とばっちりじゃないかふざけんな! ってーかお前は誰だ!?」
「我が名か。良いだろう。とおからんものは音に――うぉっ!?」
名乗ろうとした白馬イケメンが姿勢を崩す。飛来した謎の銃が彼の愛馬に直撃する。絶叫する白馬。
「おっと失礼。手が滑った」
「今度はなに!?」
度重なる不測の事態に耐えかねて、とうとう黎斗の絶叫に泣きが混じる。
「なに、通りすがりの君らの味方さ」
テノールの美しい声が周囲に満ちる。気取った口調の黒尽くめな男。いや、黒いのはマントと仮面だけか。青を基調とした、貴族の服のようなものを着ている。
「こちらの不手際で神祖を取り逃がしたらしくてね。……航空機の消滅事故が無ければ楽だったのだが」
後半は余りに小さく、聞き取れなかったがどうやら本当に加勢してくれるらしい。
「だれだか知らないけどありがとうございます!!」
「なんかいっぱい変なの湧いたし、そろそろ幕を引くかの」
教主から一端距離を置いていた大聖が不吉な言葉を口にする。
「そうだね。これで終わらせ――」
これで終わらせよう、そう続けようとした黎斗の足元に亀裂が入る。目に映る大地全てに白銀の軌跡が迸る。
「何が……!!」
「やっと見つけた」
黎斗の言葉が終わらぬうちに、この場の誰とも違う声が木霊する。刹那、大地全てが、消し飛んだ。岩が、砂が、鉄塊が。さっきまで大地に有ったもの全てが粉微塵に切り刻まれて、超特大の穴が出来る。穴の奥底で、一人の男が嗤う。
「さて、黎斗。第二ラウンドといこう
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