§42 深淵の扉
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左手の先には宙に浮かぶ文字の数々。腕に絡み付いた八雷神は全てが文字に噛み付いており、噛み付かれた文字は目まぐるしく変貌している。
「ん。マモンの力で石にした」
伊邪那美命の世界は対象の命を奪う能力だ。これを八雷神の権能で神格事、改竄。これにマモンの能力を融合させることに成功させた。結果、この世界の中の敵は石化か即死、もしくはその両方を味わうことになる。
「ホントはサリエルの力で全員解除しようかと思ったんだけど、民間人が増えて援護がめんどくさいし」
「成程。原料は人間、ですか。流石神様ですなぁ。じゃああっしもそろそろ行きますかね。あっしらが猿化しないように援護、お願いしますよ?」
「大丈夫。世界内の皆には矮小な英雄付加してるから」
「なら安心ですね」
言うが早いか、隻眼の男は前線へと疾走する。彼らの眼に畏れは無い。既に死んでいるのだから。そしてここは冥府。冥府の扉を閉じない限り、死んでも死んでも復活できる。冗談のような世界。
「左翼、展開! 右翼は一気に押し潰せ!!」
古の名軍師の声が響く。特攻する部隊、味方ごと爆撃する部隊。千差万別だが狙いは無数の黎斗達。一秒に数万近く消滅し、同じ数だけ復活する。終わりの無い消耗戦、否。即死と石化の呪いの力が、確実に斉天大聖達の身体を蝕む。黎斗達の身体を蝕む石化と邪眼。彼らの邪眼で冥府も歪むが、崩壊には至らない。冥府の邪眼と黎斗達の邪眼が相殺し合い、高位術者達が解呪の魔術をかけ続けているから。
「雑魚が!!」
黎斗の偽物が大規模殲滅魔術を使う。直後、巨大なクレーターと共に数千が消し飛ぶ。ワイヤーが空を飛翔する竜をミンチにする。聖騎士が槍の連撃で穴だらけになる。だが、黎斗の偽物も無傷ではない。
「無駄だよ。まだまだ僕は死なない!」
身体に無数の傷を受け、その度にヤマの力で超再生、これを繰り返し勝ち誇る己が偽物に黎斗は告げる。
「言い忘れてたけどさ。ヤマの特性で僕は素の強度は人間並みなのよね」
まつろわぬ神との戦いにおいて黎斗の耐久の低さはあまり気にする局面は無い。格闘戦ならまだしも、強大な権能の一撃の前には耐久の過多など誤差のようなものだ。だから、斉天大聖も黎斗の肉体強度が一般人規模だとは思っていなかった。そしてそれが分身最大の敗因となる。
「だから、みんなの攻撃で瞬殺されちゃうワケよ。……でさ、お前らの呪力はどんくらい保つの?」
「「「……は?」」」
分身の術も、変化の術も、それに伴う呪力の量は決して少ないものではない。分身によって生じた偽物に残る呪力など、本来の一割にすら満たないだろう。それでも十分だろう。武器を打ち合うくらいならば。術を乱発するくらいな
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