§42 深淵の扉
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似をしでかす。
「うちの黎斗はいつからこんなに捻くれ者になったんだ……!!」
「いやどーでもいいから手伝ってよ」
「ってうおっ!? 黎斗がたくさんいる!?」
黎斗達は突然の異常事態に様子をうかがっている。――やるなら今しかない。
「敵の擬態。押し潰して」
「お前が相手とかしんどいけどやるしかねぇよなぁ……!!」
「全くだな、博士。だが卿も盟約の元、現れたのならば死力を尽くせ」
声が、増えた。影が揺らぎ、実体を持って現れる幾千幾万もの生物たち。
「げこ。げこ」
蛙が鳴きながら明後日の方向へ飛んでいく。
「みゃー?」
俺は自由だ、と主張せんばかりに猫が鼠を追って駆けていく。
「――――!!」
声にならない叫びと共に、数百を超える魔竜が昏き空を飛翔する。強大な神獣、饕餮が、大地を蠢いた。神獣すらもが、死した大地に姿を現す。
「相変わらずすごいっすなー。今回はMAX顕現出来てるんじゃないですか?」
隻眼の男が黎斗の背後から語りかける。鎖帷子をじゃらじゃらと鳴らし、ニヤけながら遠くを眺める。
「おー爽快爽快。今回の絶対規則、敵以外への攻撃禁止、でしたっけ? ゆるゆるな条件も変わらずですか。いやこっちとしては気軽に来れるんでありがたいですが」
”この世界”は死の世界。黎斗の許可したもの以外、全ての命を奪う忌まわしき世界。この世界が現界している間、黎斗は生前に親交のあった存在を呼び出すことが出来る。呼び出した存在をいくつかの絶対的な規則で拘束出来る代わりに、呼び出しに応じてもらえるかどうかは相手次第。下手をすれば誰も来てくれないかもしれない。
「あんま雁字搦めなルールにすると集まってくれないかな、と。まぁ蟻や蛙、ウィルスは集まりそうだけど」
黎斗が苦笑しながら返答する。伊邪那美は伊邪那岐命に一日に千人殺めると誓った。故に最大値は黎斗が神殺しとなったその日から今までの日数×千、という数えるのも馬鹿馬鹿しい数値だ。しかも中身は非戦闘員から神獣まで千差万別。大量の生命の召喚と敵の命を奪う世界、この二つを同時に展開させるのが伊邪那美命の権能。須佐之男命ですらインチキ呼ばわりする代物を突破するのは至難の業だ。
「んで、この妙な石像はなんですか?」
「サルが大量に」
サルの原材料は人間だろう。この量、日光だけでは説明がつかない。日光だけなら猿が数十匹になったとしても、数千数万はあり得ない。東京都どころか関東全域で猿化現象を引き起こしている可能性が高い。その場合、甘粕達は間に合わなかった公算が高い。
「それをどうやって?」
思考に走る黎斗に対し首を傾げる男に自分の左腕を見せる。
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