暁 〜小説投稿サイト〜
魔王の友を持つ魔王
§42 深淵の扉
[3/8]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
同等の能力を得る。神なら権能も含めて。呪力をかなり消耗するがこの術と分身こそが、斉天大聖の真骨頂。数多の自分と斉天大聖、両者を同時に相手して勝つのは不可能に等しいのだから。

「本当に忌々しい天使の加護じゃ」

 だが、黎斗にその法則は当てはまらない。流浪の守護の加護下にある彼に変化しても全ての権能は使えない。せいぜいが、見た権能くらいだ。恐らく封印時に用いたマモン、テュール、スクナビコナ、サリエル、ヤマ位の筈。月読命と迦具土命は認識されていないので大丈夫なはず。もし使われたら、その時点で敗北だ。

「だが、それで十分よ」

 そう嘯く大聖の隣には、にやりと笑う黎斗の姿。もう一匹も、黎斗に変化をしてしまったのだ。更にもう一人、もう一人と増えていく。

「……これは本気で洒落にならない」

 破滅の呪鎖(グレイプニール)を使ったせいでこちらは右腕が使えない。という展開ならば良かった。黎斗は教主との戦いが終わった直後に八雷神で権能を改竄。一時的にテュールの神格を封じている。つまりは、偽物は全員両手が使える状態なわけで。

「さぁて、僕よ。―――僕がお相手仕る」

 神速で迫りくる偽物と、激突。ロンギヌスとロンギヌスが釣り合い、押し負ける。ここに来て連戦の疲労が出てきている。相手に疲労が無いのが恨めしい。オマケに偽物の邪眼が、矮小な英雄(シタサキサンスン)を若干解呪するので、今の黎斗の身体能力は呪力強化のレベルが非常に低い。大騎士にすら劣る状況だ。


「ぐっ……」

「お義兄様!!」

 十人近い黎斗が黎斗を襲いうつ。羅濠教主が加勢せんとするもどれが本物か見分けがつかない。袋叩きにされている方が本物だ、と辛うじてわかる程度か。

「娘っ子や。おぬしの相手はこっちじゃ」

 そして更に斉天大聖が、立ち塞がる。

「翠蓮!! とりあえずバカ猿任せた!!」

 斉天大聖を義妹に任せ、黎斗は相手の攻撃を必死に躱す。躱しきれずに被弾。左腕がもぎ取られる。

「くっ!」

 後退しようとするも、後退を許す程相手(れいと)達は生易しくは無い。十本近いロンギヌスが黎斗の身体に突き刺さる。

「――――!!」

 悲鳴を耐えつつ右腕に持つロンギヌスで飛来するロンギヌスを迎撃する。一般人程度の身体能力で、身体能力が神クラスの自分を相手取るのはしんどすぎだ。

「背後に鎖」

「ッ!? ありがと!」

 ロンギヌスの言葉に従い強引な跳躍。槍衾に遭うも、破滅の呪鎖(グレイプニール)で絡め取られる事態だけは回避する。先程から回避一辺倒で攻撃に移れないがしょうがない。何重ものワイヤーを潜り抜け、いくつもの槍を防ぎ。

「「「契約により我に従え――」」」

 挨拶のように絶え間なく撃ち込
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ