§42 深淵の扉
[2/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
さる。
「いきなりどうした娘っ子!?」
三面六臂を駆使して打ち合うも、若干押される大聖だったがすぐに互角へ押し戻す。
「は。ははは……いいぞいいぞ娘っ子!! 存外早くわしの予想を超えおったわ!!」
嬉々として如意棒を振る大聖の一撃を交わす教主だが、交わす度に地形が変わる。クレーターが発生し、大地がひび割れ。戦いに不向きな足場へ変貌していく。
「くっ!!」
「すきありぃ!!」
足場に気を取られた瞬間に叩き込まれた一撃は、教主を彼方へ突き飛ばす。
「っつ……」
それでも闘志を失わない教主に止めを刺そうとした寸前、大聖は急遽後退する。ぞくり、と本能が危機を訴えたのだ。
「!!?」
言い知れぬ悪寒に身を震わせた刹那、それは起こる。
「でやぁ!!」
瓢箪が砕けた。ロンギヌスの槍が。神殺しの槍が斉天大聖の腹を穿つ。
「ぐぉお…!!」
空中を疾走し教主の隣へ移動する黎斗に、教主の顔は驚きへと染まる。
「お、お義兄様……? よ、よくぞご無事で!!」
「やーってくれたのぅ。破魔の主よ。……どうやって抜け出た?」
黎斗は種明かしをすべきか暫し考慮し、相手の疑問に返答する。黎斗以外に再現出来ない方法であり、使った手札は大聖も既知の代物だ。
「瓢箪を溶解液ごと金属化させて破壊した」
酒呑童子の権能で熔解することも考えたが、そこまでする呪力が勿体ない。マグネシウム辺りに変換してしまえば、破壊は容易い。
「……相変わらず出鱈目なやつだのう」
「チートのバーゲンセールなおまえに言われたくない」
呆れた斉天大聖と憮然とした黎斗だが、正直教主から見てもこれはどっちもどっちだ。
「とりあえず、時間は稼げたし良しとしようかのぅ」
大聖のそんな言葉に黎斗は一人眉を潜める。
「……何を考えている?」
「いんや? 何にもー?」
クヒヒッと笑う猿神。
「力を取り戻しつつあるわしが、なんで分身をこれしか出していないと思う?」
大聖の言葉に黎斗は数秒、思考する。大聖の分身は本物と同等の力量を持つ。これを二体しか出していないのは何故か。
「僕らを侮る……訳は無い。呪力が、足りない? いや、呪力はそんなに消費していない筈……」
「惜しい。じゃあ解答といこうかのう。時間稼ぎも終わったし」
言うが早いか大聖は分身を新たに数体作り出す。そのうちの一つが黎斗の姿に形を変える。そのまま、筋斗雲に乗り、天高く。
「変化の為の余力か!!」
盲点だった。既に手がかりはあったのに。
「ホントはお主にもっと手札を切らせるつもりだったんじゃがな」
大聖の七十二変化術は、変化先と完全に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ