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魔王の友を持つ魔王
§42 深淵の扉
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さる。

「いきなりどうした娘っ子!?」

 三面六臂を駆使して打ち合うも、若干押される大聖だったがすぐに互角へ押し戻す。

「は。ははは……いいぞいいぞ娘っ子!! 存外早くわしの予想を超えおったわ!!」

 嬉々として如意棒を振る大聖の一撃を交わす教主だが、交わす度に地形が変わる。クレーターが発生し、大地がひび割れ。戦いに不向きな足場へ変貌していく。

「くっ!!」

「すきありぃ!!」

 足場に気を取られた瞬間に叩き込まれた一撃は、教主を彼方へ突き飛ばす。

「っつ……」

 それでも闘志を失わない教主に止めを刺そうとした寸前、大聖は急遽後退する。ぞくり、と本能が危機を訴えたのだ。

「!!?」

 言い知れぬ悪寒に身を震わせた刹那、それは起こる。

「でやぁ!!」

 瓢箪が砕けた。ロンギヌスの槍が。神殺しの槍が斉天大聖の腹を穿つ。

「ぐぉお…!!」

 空中を疾走し教主の隣へ移動する黎斗に、教主の顔は驚きへと染まる。

「お、お義兄様……? よ、よくぞご無事で!!」

「やーってくれたのぅ。破魔の主よ。……どうやって抜け出た?」

 黎斗は種明かしをすべきか暫し考慮し、相手の疑問に返答する。黎斗以外に再現出来ない方法であり、使った手札は大聖も既知の代物だ。

「瓢箪を溶解液ごと金属化させて破壊した」

 酒呑童子の権能で熔解することも考えたが、そこまでする呪力が勿体ない。マグネシウム辺りに変換してしまえば、破壊は容易い。

「……相変わらず出鱈目なやつだのう」

「チートのバーゲンセールなおまえに言われたくない」

 呆れた斉天大聖と憮然とした黎斗だが、正直教主から見てもこれはどっちもどっちだ。

「とりあえず、時間は稼げたし良しとしようかのぅ」

 大聖のそんな言葉に黎斗は一人眉を潜める。

「……何を考えている?」

「いんや? 何にもー?」

 クヒヒッと笑う猿神。

「力を取り戻しつつあるわしが、なんで分身をこれしか出していないと思う?」

 大聖の言葉に黎斗は数秒、思考する。大聖の分身は本物と同等の力量を持つ。これを二体しか出していないのは何故か。

「僕らを侮る……訳は無い。呪力が、足りない? いや、呪力はそんなに消費していない筈……」

「惜しい。じゃあ解答といこうかのう。時間稼ぎも終わったし」

 言うが早いか大聖は分身を新たに数体作り出す。そのうちの一つが黎斗の姿に形を変える。そのまま、筋斗雲に乗り、天高く。

「変化の為の余力か!!」

 盲点だった。既に手がかりはあったのに。

「ホントはお主にもっと手札を切らせるつもりだったんじゃがな」

 大聖の七十二変化術は、変化先と完全に
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