第百五十九話 豚汁その十一
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「あの方も」
「そうなのよね、それで濁酒にお話を戻すと」
「戦国時代もそうで」
「戦国時代にお酒好きっていうと」
それはというと。
「上杉謙信さんよね」
「越後、新潟県のね」
「実際新潟の子で悪いこと言う子いないしね」
「あっちの英雄よね」
「山梨の武田信玄さんと同じでね」
「所謂ご当地英雄ね」
「それでその謙信さんが」
その彼がというのだ。
「毎晩ね」
「飲んでいたのよね」
「梅干しやお塩やお味噌を肴にね」
「そういうのと一緒に飲んでいたのね」
「毎晩ね、出陣していても」
その時もというのだ。
「欠かさずね」
「無類の酒好きだったのね」
「そう、それでね」
そうであってというのだ。
「かなり飲んでいたそうよ」
「確かあの人脳出血か何かで死んでるのよね」
富美子は謙信の死因について話した。
「脳梗塞にもなって」
「絶対に飲み過ぎよね」
「ええ、その結果ね」
それでというのだ。
「お亡くなりになってるのね」
「塩分も摂り過ぎだしね」
「お塩とお味噌ばかりだとね」
「生活は質素でも」
出陣前は家臣達に馳走を振る舞ったので普段の質素かと比較してそのことがすぐにわかったと言われている。
「それでもね」
「お酒は好きで」
「そうしたものがお魚でね」
「毎晩大酒ね」
「そうだったのよ」
「そりゃお亡くなりにもなるわね」
富美子は達観した顔で述べた。
「お酒で」
「そうよね」
「けれどその謙信さんも飲んでいたのね」
「濁酒をね」
「そう思うと感慨あるわね」
「そうよね、じゃあお酒もね」
かな恵はその富美子に笑顔で言った。
「飲みましょう」
「それじゃあね、飲めたらね」
酒がとだ、富美子も笑顔で応えた。
「もうね」
「そこで楽しまないとね」
「だからね」
「今夜も飲もう」
「皆でね」
楽しく話してそうしてだった。
この日も飲みだした、富美子はカップに入れた濁酒を一気に飲んでから息を大きく吐き出して笑顔で言った。
「これよこれ」
「お酒よね」
「そう、これがあるとね」
かな恵に笑顔で話した。
「幸せになれるわ」
「そうよね」
かな恵はマッコリを飲みつつ富美子に応えた。
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