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冴えている理由
第二章

[8]前話
「お巡りさんは私がぼけていないのが不思議でしょ」
「あの、ご自身から言われますか」
「言うわよ、歳のことは自分が一番よくわかっているから」
 庭の白い椅子とテーブルに向かい合って座って一緒にミルクティーを飲みつつ応えた、どうにも猫を思わせる仕草と外見だ。所謂老猫である。
「自分からね」
「そうですか」
「それでね」
 老嬢はさらに話した。
「私がぼけていないのは園芸が好きでね」
「だからですか」
「いつもそのことを考えて手も動かしているからよ」
「園芸に対して」
「そうしているからよ」
 だからだというのだ。
「ぼけないのよ」
「そういうことですか」
「しかもね」
 老嬢は笑ってこうも言った。
「ゴシップがね」
「お好きですね」
「大好きだから」
「何かと聞かれますね」
「今じゃイギリス中からインターネットも使って見聞きしてよ」
 そうしてというのだ。
「楽しんでいるわ」
「左様ですね」
「やっぱりね」 
 何と言ってもというのだ。
「ゴシップは欠かせないわ」
「イギリスならではですね」
「ええ、けれどその園芸とね」
「ゴシップのお陰で、ですね」
「今も冴えているのよ」
「そういうことですね」
「そうなのよ。じゃあお茶を楽しんでね」 
 老嬢はにこにことしてだった、自らお茶を飲み。
 オルコットにも勧めた、そして彼も応えてティーセットもご相伴に預かったがそれが警官と探偵の癒着だの歳の離れたカップルだのゴシップとなってだった。
 当のミス=マープルはこのことも楽しんだ、オルコットはそんな彼女を見てこれは冴える筈だと少し苦笑いになって思ったのだった。


冴えている理由   完


                  2025・2・16
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