番外編1
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ばらく考え込んでいた。ソレを俺はじっと待つ。すでに選択した以上俺に出来ることは待つだけだ。
「………そうね…カズキは私に対してずっと誠実であろうとしているし…」
「……なら…私は説明をしなきゃいけない」
「禁忌術式……魔法使い自らの手で魔法使いをも滅ぼしうると証明してしまった術式のことよ」
そうしてサーシャはゆっくりと語り始める。とりあえず俺は口を挟まずに黙って聴くことにした。
「…私は奴隷として…とある戦いに送り込まれたの」
「うん…傷を癒して水を用意する道具のような物としてだったかな」
そこで私は戦いを見たのだと。
決して癒えぬ傷を見たのだと。
残された死体すらも焼き尽くす炎をみたのだと。
風に乗って疫病が戦場を飛ぶのをみたのだと。
生きたまま土へ呑み込まれる者を見たのだと。
そして─私の水は命を繋ぎ止めることなどありはせず、ただ無感情にソレを眺め続けていた。とサーシャは俺へ語る。その言葉の重さに俺は何も口を挟めない。
「………そこで私は罪を犯したの」
目を瞑り、後悔しているのだと粛々と己こそが罪人であるのだと告げる。
「私は……あの時の私は死んでいく命を勿体ないと…」
「『水』の魔力を使って命を溶かしてまとめて…魔力に変えてソレを使おうとして…」
なるほどやっぱりあの時に見た夢はそういうことなのだろう。謎だったあらゆる属性の魔力を俺という器へどう持って来ていたのかよくわかった。戦場においての判断に戦いを知らない俺は何も口を挟めるはずもなくある程度想像できる範疇で助かった。
「そして私は術式からのフィードバックを受けて…流れ込む感情のまま魔法を振るったの…」
「頭の中の冷静な私は…私の術式で多くの人々が“赤い水”のように変わって行って行くのを見て」
「……なんで人が死んでいるんだって思った」
「あの術式の術式維持のために必要な魔力の自己補完…魔力を持った生命に対する侵食し変換して…成長する」
「そしてどうしてと思っている間に“水”はあの戦場に居た人たち全てを呑み込んで溶かして“炉”へと変えてしまって…私の感情の受け皿からは零れ落ちてどうしようもなくなっていったの」
俺はその話を聞いて何も言えなかった。もしかしたら被害者から罵倒されたりするようなことがあったらこの少女は救いを感じることがあるのかもしれない。命を脅かされた訳でもなく…俺はサーシャに救われたのだ。だからこそこれに関しては俺は何も出来ない。
「そして私と一緒の時期に封印されて止められているうちに…責任を持って壊さなきゃならない」
だから俺のするべきことは彼女が救われるために彼女の行動を手伝って…彼女は幸せになってもいいのだと示していかなくてはいけない。
「もし暴走したら私
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