前編:とある世界の話
[1/4]
[1]次 最後 [2]次話
多次元宇宙、並行世界。
無限に等しい数で存在するいくつもの世界……かつてその世界を侵略しようとした悪の組織があった。
その名は『大ショッカー』、秘密結社ショッカーをはじめとした数々の悪の組織が集結し、すべての世界を支柱に収めるために侵略しようと企んでいた大組織。
だが、その野望はとある"通りすがりの仮面ライダー"と歴代仮面ライダー達によって打ち砕かれた。
大首領となるはずだった『世紀王』も、彼の傘下となっていた『大幹部』もいなくなった今、各世界に潜んでいた大ショッカーの残党達は統率力を失い、独自の侵略活動をやっていた。
世界は未だに大いなる悪意に晒されていた。
――とある男が通り過ぎるまでは。
〜〜〜〜
―――とある世界の日本、宮城県某所。
鬱蒼と生い茂る森の中、一人の少年が走っていた。
まるで何かから逃げるように必死に走る少年……頬についた泥と混じった汗を流しながら、少年は悔しい思いを零す。
「クソッ、クソッ……なんでっ、助けられないんだよ!!」
少年は走る、ただ走る。
自分を追いかけているであろう"あいつら"から逃げるべく、必死に走っていた。
何度も何度も転びそうになりながら、この森から抜けて逃げようと必死に……。
だが、そんな少年の前に異形の悪魔が現れた。
『ケケケッ!』
「ッッ!? ば、化け物!?」
そこに現れたのは、蜘蛛を模した異形の怪人。
人間の女性のような顔と乳房を持つ白い体色の巨大なクモの形態を持ったその怪人――本来ならネオ生命体が生み出した"クモ女"と呼ばれる怪人に、少年は足を竦ませる。
唸り声と蜘蛛の長い足でジリジリと近づき、今にも襲い掛からんとする。
あまりの恐怖に少年は目を瞑り、呟く。
「―――姉ちゃん……!」
『キシャアアアアア!!』
奇声を上げて少年へと襲い掛かるクモ女。
その鋭い足を向けて、少年を串刺しにしようと突き出した。
少年へと迫る凶刃に、彼はただ待つしかなかった。
だが、いつまで経っても痛みはやってこない。
代わりに聞こえてきたのは風を切る音と、直後に叫ぶクモ女の悲鳴。
少年が恐る恐る目を開けると、突き刺そうとした二本の足を斬りおとされたクモ女の姿と、そのクモ女と相対する若い青年の姿であった。
茶色の髪に凛々しい顔、黒いジャケットと青いデニムのズボンといった今時の服装を着た齢20前後の青年は、手に持った先進的なデザインの剣のような武器を構えて、こちらへと顔を向けた。
「よぉ、大丈夫か?」
「あ、あんたは……」
「なぁに、通りすがりのもんだ。通りすがりついでに君を助けただけさ」
少年の言葉に笑顔で返す青年は剣を構えて、暴れまわっているクモ女へと向かっていく。
クモ女
[1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ