前編:とある世界の話
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が変わった。
ツバキは驚いた表情を浮かべ、ハルマは目付きが鋭くなる……二人の変化をジャガイモ少年が見逃さなかった。
不敵な笑みを向けながらハルマはジャガイモ少年達へ訊ねてきた。
「大ショッカー、ねぇ……そいつらが町の人を攫ったっていうのか?」
「ああ、そうだよ。奴らはそう高らかに名乗っていたけど……」
「そうか……ツバキ、早速だけど動くぞ」
「うん!」
「ちょっ、ちょっと待ってくれ! 二人ともどこに行くって……」
ハルマがツバキと共に民家から出ようとするところへ、ジャガイモ少年が止めに入る。
彼に呼び止められたハルマは振り向いて、彼の質問に答えた。
「そりゃ、お前らの大切な人を取り戻すためだが?」
「取り戻すって、大ショッカーと戦うってことか!?」
「まあな、何の因果でこの世界にたどり着いたかわからなかったが、奴らがいるなら俺達の出番だ」
「大丈夫だよ、私とハルマならなんとかするからね」
自信ありげにニヤリと笑うハルマと共に、ツバキがウインクを送った後、二人は民家から出ていく。
その後を追って、民家から出てきたジャガイモ少年が叫んだ。
「待ってくれ! アンタたちだけで行かせるなんてできるかぁ! せめて、せめて俺にできることを!」
「そこまでいうなら、うーんと……じゃあ、ジャガイモ少年。助けにいく報酬代わりと言ってなんだが、一つ絵のリクエストしてくれ。完成する頃には取り戻してやるからさ」
「絵でいいのか……って、なんで俺が絵を描いている事を?」
自分の趣味でもあり数少ない特技のである絵描きについて一言も喋ってないはずなのに、なぜかそれを言及したハルマ。
ジャガイモ少年はそれが不思議でならなかったが、彼の様子に対してハルマは不敵な笑みで返すと、自分のリクエストの内容を伝える。
そのあと、ツバキを引き連れて目的の場所である大ショッカーの元へと向かうことにした。
その二人の背姿を見て、ジャガイモ少年は呟いた。
「……大丈夫かな。あの二人……」
ジャガイモ少年は町から出て再び森へ向かおうとするハルマとツバキの姿を見送る。
自分ですら死ぬ恐怖を味わったにもかかわらず、何処か慣れた足取りであの怪物達が巣食う場所へ向かう彼ら……二人の背姿を見て感じたのは、―――安心感だった。
いうなれば『死にいく背中は思えない』、今のジャガイモ少年はハルマとツバキの姿を見てそう思った後、家に戻り、自室にて描き始めた。
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