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仮面ライダーネビュラス -Cosmos of the Fighter-
中編:綻ぶ日常、忍び寄る侵略
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てもらっている身だからな」

「ふむ、そんな固い態度でなくてもいいですよ。笑顔と共にもう少し和らいでもらえるとこちらとしては助かりますよ」

「笑顔は……苦手なんだがな」

客へ珈琲を差し出しているデイビスに、笑顔と言われて渋い表情を浮かべるユース。
自分でも笑顔になることは少ないと認めているが、例え作ったものでも必要なのがこの接客業というと思い知らされた。
変化した愛らしい見た目と彼女由来の性格も相まってか、心から笑うことができるティアがウェイトレスとして適任している事と比べ、調理担当として選んだ自分は中々人のために笑うことはできそうにないと思う。
今の働く自分に欠けている物を痛感したユースはどうにかして克服出来ないかと悩んでいた。
そんな中であった、店内に入ってくる青年・シデンの姿を捉えたのは。

「どうも」

「いらっしゃいませ! って、あなたはシデンさん」

「ティアちゃんか。その姿似合ってるよ。向こうにいるユース君もね」

ティアに挨拶をかけられてシデンはへにゃりと笑みを浮かべる。
カウンターの向こうから様子を伺うユースのジトっとした睨み付けるような視線にも変わらない表情を向けたまま、シデンはカウンター席に座った。
立てかけてあったメニュー表も横目に振らず、シデンは口頭で注文した。

「ベーグルサンドとコーヒー」

「いつものやつですね、かしこまりました」

シデンの注文の品を聞いてデイビスは早速コーヒーメーカーへと向かい、その間にユースがベーグルサンドを用意する。
まもなくて程よく熱を帯びたベーグルサンドと淹れたてのコーヒーが目の前に差し出された。

「頂きます」

掴み上げたベーグルサンドを勢いよく被り付くシデン。
新鮮な野菜であるトマトとキャベツ、それに加えて挟みこまれたタレのついたチキンが絶妙な美味しさを引き出した。
シデンは口内で広がっているベーグルサンドの味を確かめると、カウンターの向こうにいるユースへと声をかける。

「美味しいよ、君の作ったベーグルサンド」

「教えられた通りにやっただけだ」

「デイビスお爺の教えも相まって美味しいって事さ」

「そうか」

シデンの誉め言葉にユースは素っ気なく返す。
その様子を見てティアは不安そうに見つめるが、デイビスがニコリと余裕そうな表情を向けている事に気づき、言葉を飲み込んで接客業へと戻っていく。
二人が店の手伝いをする様子を横目で見て、ベーグルサンドをあっという間に平らげてコーヒーを啜っているシデンはデイビスの方へ顔を向ける。

「ねぇ、デイビスお爺」

「なんでございましょうか」

「この二人を雇ったのって、何か理由でもあるの?」

「そうですなぁ……あの二人は孤独を宿した目をしてい
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