十二話 夜の双翼(中編)
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何故か核エネルギー抜きでも、地殻エネルギー発電により国民の生活に全く影響を与えないレベルで発電できているオーブ以外の台所事情は、おおむねこのようなものである。
で、この危機への対策の一つとして挙げられたのが、世界樹コロニーの太陽光発電量の高さを生かした、食料生産である。
ジョンの義実家、レンブラン家を含めた各業界のエキスパートを集め、ついでにキチンと素性を調査した居場所のないコーディネーターやナチュラルを労働力として確保したこのコロニー。
宇宙上のため、何かしらの外部介入がない限り、発電できるというメリットを生かし、地上の諸々の欠乏をカバーするのがこの建物の仕事である。
とりあえず各国の崩壊のトリガーになりうる食料の窮乏をどうにかするため、コロニーの7割を食料製造のための農業プラントに、2割をその加工工場と地上に輸送するシャトル発着に使用。
残り1割を、業務に携わる人々の住居にすることでとりあえずの世界の飢餓と欠乏の応急措置をするのが、このコロニーの役目である。
で、何故オーブが噛んでいるのか?
様々な国からはじき出された、コーディネーターとナチュラルの橋渡しになるのがオーブ以外いないからである。
悲しい話だが、こんな状況だからこそ、誰かに当たって憂さを晴らしたい、という欲望を持つ者が選定前の地球側のナチュラルにはとても多かった。
合理的に考えればそんな場合ではない、というのが正論であるのは誰だってわかる。
だが、正論だけでブレーキ掛けられる人は、実際ほとんどいないのだ。
じゃあナチュラルだけ連れていけば良いって?
残念だが、住み慣れた土地から離れて危険地帯にて仕事に従事する、という勤務内容に多数のナチュラルは集まらない。
しかも、被災等のどうしようもない理由で高給の仕事を希望していたナチュラルでさえ、最初はここでの仕事に難色を示していた。
それはそうだ。
なんせ、大局的に勝つためには、自爆戦術すら許容する地球連合という側面を見せられた直後だ。
のこのこやってくるのは自殺志願者以外居ないだろう。
じゃあ、どう考えても地球側に居場所のないコーディネーターを連れてきて全員分枠を埋めるか?
敵対してるコーディネーター国家、プラントが近くにあるのに?
どんなに安上がりでも、それは出来なかった。
こうして、危ういバランスのまま、どうにかこのコロニーを短時間で成立させるために、ナチュラルVSコーディネーターの非常時の対応マニュアルとノウハウを持った中立国オーブが名乗りをあげ、承認された。
ジョンはその結果を素直に称賛した。
コウモリ外交は一歩間違えれば奈落の高リスク高リターンの行為である。
しかし、オーブはそのリスクを飲んだ
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