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博士の挑戦状
第二百二十一話

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              第二百二十一話  昭和は過去のこと 
 博士は懐かしむ顔になり小田切君に話した。
「ファミリーコンピューター自体もそうじゃが」
「ファミコン雑誌もですね」
「そして攻略本もな」
「本屋さんの一角を占めていたんですね」
「そうだった、しかしな」
 それでもというのだ。
「本屋さん自体がな」
「なくなってきていますね」
「街からな」
「そうですよね」
「だからじゃ」
 博士は寂しそうに語った。
「わしも寂しく思っておる」
「昭和から平成の光景ですね」
「それがなくなってな」
「今は歴史ですね」
「そうなったわ」
「歴史の一風景ですか」
「昭和の頃は今と比べると全く以て遅れておったが」
 文明がというのだ。
「よい時代であった」
「そうだったんですね」
「そうした本屋さんがあってな」
 そうしてというのだ。
「ゲームセンターも多くあってな」
「今そっちも少ないですね」
「随分減った、難波に行ってもな」
 関西屈指の繁華街にもというのだ。
「それでもじゃ」
「今は少ないですね」
「そうなっておってな」
 博士はさらに話した。
「昔ながらの駄菓子屋や文房具屋さんもじゃ」
「なくなっていますね」
「そうなっておるわ」
 博士は懐かしむ顔で話した。
「だからな」
「それで、ですね」
「今はより進歩しておるが」
「寂しくもありますね」
「いいことがあれば悪いこともありな」
 そうしてというのだ。
「賑やかになったこともあれば」
「寂しくなったこともありますか」
「その寂しくなったうちの一つがな」
 今はというのだ。
「本屋さんじゃ」
「なくなっていったから」
「つくづく思うわ」
 博士はまた寂しそうに言った。
「思っても仕方ないがな」
「世の中の流れですね」
「そう言ってしまえば終わりだからのう」
 それ故にというのだ、博士はファミコン攻略雑誌を手に取って開いている小田切君に対して語るのだった。


第二百二十一話   完


                  2024・11・24
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