第百五十八話 デマコーグその十二
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「具は何でもいいわ」
「若布とかでなくても」
「本当にね」
「何でもいいのね」
「豚汁だって好きだし」
「じゃあ粕汁どうかしら」
理虹は味噌汁が好きだと言う中国の娘に笑って問うた。
「美味しいかしら」
「粕汁?最高ね」
これが返事だった。
「冬には」
「そうよね」
理虹はその返事に笑顔になった、そうしてその粕汁という食べものについて中国の娘にさらに話すのだった。
「粕汁は関西の食べもので」
「そうみたいね」
「大阪でもよく食べるから」
「冬によね」
「あったまるしね」
粕汁を飲めばというのだ。
「栄養もたっぷりだし」
「人参や大根が物凄く入っていて」
「お魚か豚肉になるけれど」
「寮はお魚よ」
「そっちなの」
「イスラム教やユダヤ教の娘もいるから」
宗教的な理由でというのだ。
「やっぱり」
「だからなのね」
「普段は豚肉化他のお肉か選べるけれど」
「ヒンズー教の娘だと牛肉アウトだし」
「そこは配慮されてるのね」
「まあアッラーに謝罪して飲む娘いるけれどね」
中国の娘は笑ってこうも言った。
「その辺りイスラム融通利くから」
「カツ丼食べるムスリムの人もいるし」
「だからいいけれど」
「まあ最初から配慮してるのね」
「寮もね」
「それで粕汁もなのね」
「鮭入れてるのよ」
この魚をというのだ。
「それで私達もね」
「寮で粕汁食べてるのね」
「そうよ、美味しいわ」
理虹に満面の笑顔で話した。
「関西はいいものあるわね」
「そうでしょ、粕汁って小説にも出るしね」
「織田作之助さんよね」
「夫婦善哉にも出てるのよ」
この作家の代表作であるこの作品にというのだ。
「題名の善哉に自由軒のカレーに」
「鰻丼とよね」
「鰻がご飯の中にあるね」
「そうよね」
「そういった食べものと一緒に」
「粕汁も出てるのね」
「昔からあって」
大阪にというのだ。
「食べてるのよ」
「それで神戸にあるこの学校でもね」
「寮で出るのね」
「美味しくて身体が温まって栄養もあるから」
これだけの要素が揃っているからだというのだ。
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