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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
大事な人とのバレンタインデー @
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して、愛美の顔は茹でダコみたいに真っ赤になった。

「……純也さんって、実はキス魔?」

「いやいや! 愛美ちゃんにだけだよ。他の人にはしないって。別にアメリカナイズされてるわけじゃないし」」

「……そう」

(確かに、この人が他の人にキスしてるところは想像つかないかも)

 というかそんな光景、考えるだけでもイヤだ。まあ、女性不信の純也さんに限ってそれはないだろうけれど。

「じゃあ改めて、愛美ちゃん。今年もよろしく」

「うん、よろしくお願いします」

 二人は改めて顔を突き合わせ、新年の挨拶を交換した。

「俺、今年もちょくちょく君たちの寮に遊びに行くつもりだから。そうだな……さしあたり、次はバレンタインデーかな」

「バレンタインデーに? まさか、わざわざわたしからのプレゼントをもらうためだけに来るの?」

「それもあるけど、君たち三人に、俺からもチョコをあげるためにね」

「それ、さやかちゃんあたりがすごく喜ぶと思う。もちろんわたしも嬉しいけど」

「だろ?」

 さやかは「チョコ好きに悪い人はいない」を座右の銘にしているくらい、無類のチョコ好きである。純也さんからチョコをもらえると分かったら喜ばないわけがない。

「それより、愛美ちゃんがくれるっていうもう一つのプレゼントって何だろうな。期待してていい?」

「もちろんだよ。期待して待ってて! 手作りチョコの方はあんまり自信ないけど、頑張ってみるね」

 愛美は千藤農園のお手伝いで料理はだいぶできるようになったけれど、お菓子作りはあまり経験がない。でも、家庭科が得意なさやかがいればどうにかなるだろう。多分、珠莉も巻き込んで三人でチョコ作りをすることになると思う。

(何たって、珠莉ちゃんにも好きな人がいるわけだしね)

「大丈夫。俺、どんなに出来がひどくてもちゃんと食べるから」

「〜〜〜〜っ! 純也さん、その言い方ちょっとヒドくない!?」

「あはは、ゴメン!」

 愛美が眉を吊り上げて抗議すると、純也さんは笑いながら謝った。もちろん、優しい純也さんが意地悪でそんなことを言ったわけではないことを、愛美はちゃんと分かっている。


 ――〇時半を過ぎて、音楽番組も終わった。愛美もそろそろ眠くなってきて、大きな欠伸をする。

「愛美ちゃん、眠そうだね。そろそろ部屋に戻って寝たら?」

「うん、そうしようかな……」

「明日……っていうかもう今日か。よかったら一緒に初詣に行かないか?」

「初詣? 行きたい!」

 去年のお正月には、さやかちゃんの家族と一緒に川崎大師まで初詣に行った。今年は純也さんと二人で初詣。愛美としては、これはぜひとも行きたい。

「じゃあ行こう。どこがいいかな
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