暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
大事な人とのバレンタインデー @
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た時は、誰が誰だか分かんなかったし)

 でもスマホをすっかり使いこなせるようになって、流行りの音楽にも詳しくなった。この一年半以上で、愛美はすっかり世慣れしたように思う。

「わたし、このグループの曲好きなの。ドラマの主題歌になっててね、そのドラマも毎週観てたなぁ」

 ちょうど今歌を披露している男性グループの曲の話をしていると。

「俺もこのグループ好きなんだ。やっぱり歌うまいよな」

「えっ、そうなの!?」

 実は純也さんも、同じアーティストが好きだったことが分かり、愛美はビックリ。

「そっか、そうなんだ……。なんか嬉しいな」

 こうしてまた、大好きな人との共通点が増え、愛美は彼のことがより好きになった。ほっこりした気持ちでココアを飲んでいて、その甘い香りからふとバレンタインデーのことが頭をよぎる。

「……ねえ純也さん、手作りのプレゼントってどう思う? 嬉しい? それとも困る?」

「ん? どうしたんだ、急に」

(ちょっと切り出し方が唐突すぎたかな)

 反省した愛美は、考えていることを順序立てて言い直した。

「あ……えっと、二月にバレンタインデーがあるでしょ? でね、わたし、手作りのプレゼントを考えてて。チョコだけじゃなくて、もう一つ。で、それについて純也さんはどう思うのかな……って。『手作りは重い』とか迷惑に思う男の人もいるらしいって、さやかちゃんから聞いたことがあったから」

「ああ、そういうことか。俺は手作り、好きな相手からなら迷惑に思ったりしないけどな。むしろ嬉しいよ。ちゃんと贈る側の気持ちがこもってるから」

「そう……なんだ。よかった」

 愛美はとりあえずホッとしたけれど、ある意味女性不信の純也さんらしいなとも思った。
 純也さんはこのルックスだし、セレブの一族なので多分モテるはず。当然ながら、バレンタインデーにはチョコレートやプレゼントもドッサリもらっているだろう。中には手作りのもあるはず。
 でも、好きでもない相手からもらう手作りのプレゼントは迷惑以外の何ものでもないと思う。下心とか打算とか、色々と勘ぐってしまうだろうから。

「確かに、好きでもない人から、それも山ほど手作りのものをもらうのは地獄だよね……」

「その地獄みたいな光景を、俺は毎年味わってるわけよ。でも、さっきも言ったけど愛美ちゃんからなら喜んで受け取るよ。愛美ちゃんは、俺の大切な人だから。どんなのがもらえるか、今から楽しみだな」

「うん! わたし、純也さんのために張り切って用意するからね! あ、もちろん学校の勉強も、作家のお仕事も頑張るけど」

(……純也さんの分はこれで決まったとして、問題はあしながおじさん≠フ分。どうしようかな……)

 愛美は悩む。あしなが
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