暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
大事な人とのバレンタインデー @
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ンだったので部屋の中を見回す余裕がなかったけれど。
彼の部屋の中はかなり世俗的なもの――TVだったりスピーカーだったり、ゲーム機だったり――があって、そのうえでゴチャゴチャはしておらずキチンと片付いていることが分かった。
そして、ちゃんと暖房が効いていて暖かい。
「愛美ちゃん、ソファーにどうぞ。ここがTVを見る時の特等席なんだ。ホットココアも用意してあるからね。ちなみに由乃さんじゃなく、俺が自分で用意したんだよ」
愛美は純也さんに勧められたソファーに座り、魔法瓶から注がれたホットココアのカップを受け取った。その隣りに、同じようにカップを持った純也さんが腰を下ろし、リモコンでTVのチャンネルを変えた。
「えっ、純也さんが自分で? 由乃さんに怒られなかったの?」
「怒られたねー。『おっしゃって頂ければ、私が用意致しましたのに!』って。でも、俺の個人的な事情で頼むのはなんか申し訳なくて。俺、この家では
居
(
い
)
候
(
そうろう
)
みたいなものだから」
「居候≠チて……」
彼が自虐的に言ったので、愛美は思わず絶句した。でも、普段は別のところで一人暮らしをしていて、実家にはめったに寄りつかないのなら似たようなものかもしれない。
(……まあ、わたしが純也さんと同じ立場でも、こんな家にはあんまり帰って来たくないかも)
初めてこの家を訪れた愛美でさえそう思うのだから、この家で生まれ育った純也さんは余計にそうだろう。
「……あ、愛美ちゃん。始まるよ」
TVではニュースが終わり、年に一度の華やかな歌の祭典がスタートした。
この番組は前半戦が終わった夜九時ごろ、ニュースが挟まる。
「――愛美ちゃん、ココアのお代わりいる?」
「あ、ありがとう! 純也さん、小腹がすいてたら、わたしの部屋からお菓子取ってくるよ。クリスマスに純也サンタからもらったの、まだ余ってて」
「サンキュ、愛美ちゃん」
というわけで愛美は一旦部屋に戻り、焼き菓子セットの箱を持って純也さんの部屋へ取って返した。
中身はまだかなり残っている。一人では食べきれないというのもあるけれど、「こんなに高そうなお菓子、食べちゃうのがもったいない!」というのが愛美の正直なところである。
「――おかえり、愛美ちゃん。まだ後半戦始まってないよ。ギリギリセーフ」
「よかった、間に合って! これ、お菓子ね」
二人はローテーブルに置いた焼き菓子をつまみ、ココアを飲みながらまたTV画面を見つめる。愛美の好きなアーティストがたまたま後半戦に固まっているので、前半戦よりも真剣に見入ってしまっているのだ。
(わたし、高校に入学した頃は流行に疎くて好きな歌手とかいなかったのになぁ……。去年さやかちゃんのお家で観
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