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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
大事な人とのバレンタインデー @
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うん、今日も可愛いね。じゃ、行こっか」

 ――というわけで、二人は今年最後のデートに出かけることになった。


   * * * *


 今日の行き先は、数日前に時間の都合で行けなかった〈東京ソラマチ〉に決まった。
 七階のフードコートで昼食を摂り、五階まで下りて水族館へ。愛美は可愛いペンギンたちやオットセイたちに癒された。
 その後はショッピングを楽しんで、カフェでお茶をして、四階からスカイツリーの天望デッキへ上がった。

「こないだとは違って今日は空いてるねー。やっぱり大晦日だから?」

「だろうね。大掃除とか新しい年を迎える準備とかでみんな忙しいんだろうな。今日ここに来てるのはもう新年を迎える準備が済んでる人たちか、人任せにしてるヒマ人くらいのもんだ。……あ、俺たちもか」

「……確かに」

 純也さんが最後に付け足した一言に、愛美は思わず吹き出した。

「純也さん、それって思いっきり自虐だよね」

「うん……、そうなるよな」

 二人とも、本当は何か手伝いたかったのに断られたため、暇を持て余していただけなのだ。決して自分たちの意思で暇になっているわけではない。

「――去年の大晦日はどうだったの? さやかちゃんの家で冬休みを過ごしたんだよね」

「うん……。でも、あれ? わたし、純也さんにその話……。あ、そっか。珠莉ちゃんから聞いたんだ?」

「まあ、そんなところかな」

(ウソばっかり。ホントは知ってたくせに)

 愛美は心の中でツッコみつつ、口に出しては言わなかった。

「さやかちゃんのお家ではね、大晦日は大掃除とかおせちを作るのを手伝わせてもらって、夜はみんなで紅白歌合戦を観て、除夜の鐘を聞いてから寝たんだよ」

「そっか。うん、定番の大晦日の過ごし方だな。ウチはみんな紅白観たりっていう習慣がないからなぁ。そもそもTV自体あんまり観ないし。普段通りに過ごして、何となく年が明けてる感じ」

「そうなんだ……。純也さんもそうなの?」

「いや、俺は毎年、紅白からの音楽番組で年越してるよ。俺の部屋にもTVあるから、今晩一緒に紅白観ようよ」

「えっ、いいの?」

 純也さんからの提案に、愛美は喜ぶよりも先に戸惑った。
 彼が紳士だと分かってはいるけれど、恋人とはいえ大人の男性と同じ部屋に二人きり……。これでドキドキしない方がどうかしている。

「もちろんいいよ。あ、愛美ちゃん、安心しなよ。俺はちゃんと常識あるから」

「……うん」

 そういうシチュエーションになるのは二度目だ。夏にそのシチュエーションになった時に、愛美は純也さんから初めてキスをされたのだ。

(……まあ、でもあの時はまだ両想いになったばっかりだったし、わたしもまだ緊張し
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