暁 〜小説投稿サイト〜
ドリトル先生の長崎での出会い
第七幕その九

[8]前話 [2]次話
「反省して贖罪を続けている様な」
「ああ、そうした風ね」
「過去のことを思いながら修道院にいて」
「そこで神様に仕えて贖罪を続けている様な」
「そうした感じだね」
「そう思うよ、何かね」
 まさにというのです。
「そんな感じがするね」
「そうだね」
「何かそこも中尉みたいだね」
「中尉は絶対にあの後罪の意識に苦しんでいるから」
「それも一生ね」
「心から深く強くね」
「だからね」
 それでというのです。
「あの人を見ていると」
「やっぱり中尉だね」
「中尉を思い出すね」
「舞台の中尉を思わせる雰囲気で」
「お話の後の反省して後悔している中尉も連想するから」
「そうだね、けれど僕が思うに」
 先生は皆に遠いものを見る目でお話しました。
「自分が行ったことじゃないと」
「罪に思うことはないよね」
「反省したり後悔することも」
「そんな必要はないね」
「全く以て」
「そうだよ、だからね」 
 それでというのです。
「間違ってもね」
「自分がやったことでないなら」
「反省したり後悔することはしないで」
「例えご先祖様がしたことでも」
「前向きに生きることだね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうすることだね」
「まさにね」
「そうしたことを考えて後ろ向きになるより」
「前向きに生きることだね」
「そうすべきだよ、若し中尉の子孫の人達がいても」
 それでもというのです。
「中尉の罪は中尉の罪でね」
「子孫の人達には関係ないね」
「それも全く」
「お子さんもお孫さんも」
「そうだね」
「あの後日本とアメリカは戦争になって」
 歴史のこともお話しました。
「原爆も落とされたし日系人の人達も収容所に入れられたね」
「アメリカ西海岸にいた人達がね」
「そうされたね」
「アメリカ人だったのにね」
「酷いよね」
「これは人種的偏見の最たるものでね」
 そうであってというのです。
「決してあってはならなかったもので」
「二度とあってはならない」
「そうしたものだよね」
「生まれだけで差別する」
「そんなことはね」
「それが起こってしまって」
 それでというのです。
「十万以上の人達が収容所に入れられたけれど」
「若しかして」
「その中に中尉の子孫の人達がいた?」
「ひょっとして」
「うん、当時日系アメリカ人は十一万位の人がいて」
 そうであってというのです。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ