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コントラクト・ガーディアン─Over the World─
第一部 皇都編
第二十八章―邂逅の果て―#1
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陣など───快適な暮らしに欠かせない魔術陣は、軒並みディルカリダ側妃が設計している。
それから────聖堂に設えられていた、あの“神託”を授かるための魔術陣もだ。この魔術陣は、やはり私が考えていた通りのものだった。
特殊能力である【
抽出
(
ピックアップ
)
】を参考に創られたみたいで────【
潜在記憶
(
アニマ・レコード
)
】を検索して、前世での生業を探る。検索には地下施設の
聖結晶
(
アダマンタイト
)
を利用するようになっていて、なるべく発動に伴う魔力や探られる者の負担を軽減しているらしい。
確か────“神託の儀”のとき、二つある魔術陣の一つに司祭が乗って、もう片方に私が乗った。
司祭が魔術を発動して、私の【
潜在記憶
(
アニマ・レコード
)
】から前世の生業が抽出され、結果は司祭の方に送信された────そういう流れだったようだ。
「むぐ…!」
無意識に、靴を脱いでソファに乗り上げ、膝を抱えようとして────ネロが私の膝の上で寝ていたことを思い出す。
「あっ、ごめん、ネロ」
「…リゼ、またボクがいるの忘れてたの?」
「ごめんね、考え事に夢中になっちゃって…」
お詫びに撫でてあげると、ネロはすぐに喉を鳴らし始めた。ソファの下に伏せていたヴァイスが、むくりと起き上がって、私の膝に頭を載せる。背中を押されたネロが、ちょっと迷惑そうにヴァイスを見遣る。
「我が姫、我も撫でて欲しい」
ヴァイスの可愛いお願いに、私は口元を緩めて、空いている左手でヴァイスの純白の毛を均すように撫でる。気持ちいいのか、ヴァイスもネロと同じように瞼を閉じて力を抜いた。
しばらくは何も考えずにネロとヴァイスを撫でていたが────いつしか、私の意識はディルカリダ側妃のことに引き戻されていた。
禁術である【
記憶想起
(
アナムネシス
)
】と【
催眠
(
ヒプノシス・イ
)
誘導
(
ンダクション
)
】を利用していたことや、皇妃一派が崇拝していることから────私は、ディルカリダ側妃という人物を、他人を顧みない老獪な野心家のようにイメージしていた。
だけど────残されていた記述を読んだ限りでは、そんな人物であったようには感じなかった。
簡潔で短い記述だったけれど、サリルを心配していることが読み取れたし────イルネラドリエという人物が自分を案じてくれていることに心苦しくも嬉しく感じているというような記述もあって────他人を思いやれる人物に思えた。
そして────【
記憶想起
(
アナムネシス
)
】を利用することに対する苦悩も綴られていた。カイバルス王国の脅威に対抗するべく国力を上げるためとはいえ────何も知らない人々の魂魄を傷つけることに、ディルカリダ側妃は罪悪感に苛まれていたらしい。
でも
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