非効率
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えりかは叫び、再び盾を展開する。彼女の浮遊する武装と武装の間に発生する透明な壁が、放たれた白い光弾と激突するが。
「……ふん」
白い魔法使いは、拳を握った。
すると、白い光は収縮し、爆発。えりかの盾を吹き飛ばし、彼女とウィザードを再び吹き飛ばした。
「ぐあっ!」
そして、今度の一撃は、ウィザードを変身解除まで追い込む。
生身となったハルトへ背を向け、白い魔法使いは棒立ちのままのボンドルドを見据えた。
「終わりだよ。ボンドルド」
「やめろ……キュゥべえ!」
白い魔法使いは、もうハルトの叫びを意に介さない。
ゆっくりと、ハーメルケインの刃先を向けながら、一歩一歩、ボンドルドへ近づいていく。
「おや、おや」
自らの命を狙われているというのに、ボンドルドには全く焦りは見られない。
「……死が怖くないのかい?」
「ええ」
ボンドルドは上半身を起こし、その両手を左右に広げる。
「私は命の神秘、その深淵を知りたい……自らの命でその深淵に触れるのもまた一興。まあ、色々と理解した上で行いたかったですが」
「ふうん。人間っていうのは、よく分からないね」
白い魔法使いは興味深そうに、だけれども少し詰まらなさそうに吐き捨てた。
そして振り下ろされたハーメルケインは、ボンドルドの面を___
「……全く。本当にわけがわからないよ」
白い魔法使いは、無表情な声色で呟く。
だが。
「グウゥゥゥゥ……!」
獣の唸り声に、白い魔法使いは動きを止めた。
「……哀れだね」
その時のキュゥべえには、実は感情があったのではないか。
結梨だった生物が、ボンドルドを守ろうと白い魔法使いの腰布に噛みついている。白い魔法使いは噛みついた腰布を引き、結梨だった生物の口から離すが、白いキメラはそれだけでは済まさず、白い魔法使いの右足に食らいついた。
「……ふん」
白い魔法使いは足を振り、キメラをボンドルドの前に放る。
「邪魔をされると面倒だね……先に君から始末するか」
「やめろ……やめろ!」
「……だ、ダメ!」
ハルトとえりかの叫びも、もう何の意味もない。
白い魔法使いは、ハーメルケインをキメラに向ける。
そのまま、無抵抗の実験生物へ、死の刃を突き立てようとするが、その間に黒い影が割り込んだ。
「……全く、人間というのは本当に意味が分からないよ」
「おやおや……奇遇ですね」
ボンドルドは胸を貫かれたまま、白い魔法使いの肩を掴む。
「……何のつもりだい? ボンドルド」
「聖杯戦争に参加した時点から、私は自らの体に、最大威力の自爆装置を仕組んでありましてね。私が作り上げたものが、どれほどのものかを
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