非効率
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クトの指輪が、別の指輪に差し変わっていた。
「指輪が……変わった……!」
「毎回戦闘中に指輪を入れかえるなんて、非効率極まりないじゃないか。この仕様には本当に理解できないよ」
白い魔法使いはそのまま指輪を、ワイズドライバーへ読み込ませた。
その間に、えりかが割り込む。彼女は盾を展開させ、白い魔法使いの魔法に備えるが。
『エクスプロージョン ナウ』
「エクスプロージョン?」
聞き覚えのない魔法に、ウィザードは一瞬冷静になる。
その名の通り、白い魔法使いの魔法は爆発の魔法。
えりかの盾を通り抜け、ウィザードとえりかの間の空間が瞬時に凝縮された。それは、高密度のエネルギーとなり、炎とも違う爆発となる。
「うわっ!」
「きゃあっ!」
ウィザードとえりかは、ともに吹き飛ぶ。
コンクリートに落ち、ウィザードは全身に焦げ跡が付いた自身の体を見下ろした。
「これ、内部から……!」
ウィザードは自らの体に触れながら、その感触を確かめる。
外装にダメージはない。むしろ、体内へ直接爆発を起こされているようだった。
白い魔法使いはそのまま続ける。
「君の魔法を解析していたときに組み上げたのさ。この魔法は君も発現できると思うけど、なぜこの効率を求めないのか、理解に苦しむね」
「っ!」
『チョーイイネ スペシャル サイコー』
ドラゴンの幻影が胸元に集約され、生成されたドラゴンの頭部、ドラゴスカル。
それは即座にその口を開け、ドラゴブレスを吐き出した。
だが。
『リフレクト ナウ』
白い魔法使いは、全く慌てることなく、その対策を繰り出してきた。
遠目からでも、それがウィザードも見慣れた防壁の魔法だと言うことが分かる。
だが発生した防壁は、ウィザードのものとは比べものにならないほどの防御力を誇る。
ドラゴブレスを完全に防ぎ切ったそれ。ウィザードの魔法とは比べものにならない堅牢さを実感したウィザードは、仮面の下で冷や汗をかいた。
「嘘でしょ……ッ!」
「その魔法は、こう使うといい」
白い魔法使いは、そう言いながら、変化した指輪を発動させた。
たった今ウィザードが使ったものと、全く同じ種類の指輪。右手に差し込むと同時に、ワイズドライバーが操作された。
『ルパッチマジックタッチ ゴー ルパッチマジックタッチ ゴー』
『イエス スペシャル アンダスタン?』
白い魔法使いの手に、光の球体が現れる。徐々に大きくなっていく光は、暗い地下室を照らすほどの光量を放っていた。
そしてそれは同時に、地下の研究室を眩く照らしていく。
その光量から推測できる。白い魔法使いの魔力量は、今の自分を遥かに上回ると。
「松菜さん!」
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