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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第240話:傲慢の芽を摘んで
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の目は、間違っても同盟を組んでいる相手に対して向けるそれではなかった。

「……いい気になっているが良い。貴様らの考えなぞ、儂等とて承知の上よ」




***




 シャトーへの攻撃後、奏達装者は居心地の悪い時間を過ごしていた。何と言っても未来を連れ去られたままなのが何よりも痛い。先の戦いで未来は神獣鏡のシンフォギアの様な物を纏っていたが、アリス曰くあれは恐らくファウストローブの類だろうとの事。シンフォギアを作り出せるのは了子か今は亡きナスターシャ教授のみ。そのどちらが作った物でもないとなると、考えられるのは錬金術により作成されたファウストローブと言う事になる。

 今後の戦いでは、最悪そのファウストローブを纏った未来と戦う事になるかもしれない。そう思うと響は気が重くなるのを感じずにはいられなかった。

「はぁ……響の奴、大丈夫かな?」

 あの戦いの後暫く響の傍で彼女を元気付けようとしていた奏だったが、イマイチ手応えが無くお手上げ状態となっていた。このままでは埒が明かないと思った翼の提案で、響は一度本部を出て家族の元へと向かわされていた。幸か不幸か、近隣にはまだ完全に復縁出来ず安アパートで独り暮らしをしている響の父である晃が居る。父親と話す事で何か見えるものもあるかもしれないと、翼は響に一時帰宅を勧め響もそれに頷き今は本部に居なかった。

 奏は翼やクリスらと共に本部の廊下を休憩所に向けて歩きながら溜め息を吐いていた。そんな彼女の背を、相棒の翼が優しく叩く。

「らしくないわよ奏。折角颯人さんともまた会えたって言うのに」
「んぇ? あぁ、いや……流石にこの状況で、颯人と暢気に会ってられないって」
「マジでらしくねえな、先輩? 普段の様子はどこ行ったんだよ」
「そう言うクリスこそ、透と一緒じゃないじゃん?」

 悩める奏からの思わぬ反撃に、今度はクリスが言葉に詰まった。実際、あの戦いの後からどうにも透の様子がおかしいとは思い話し掛けようとしたのだがタイミングが悪いのか悉くすれ違ってしまうのだ。

「何か……透に避けられてるような気が……」
「えぇ? あの透が? んなまさか、無い無い」
「訳あって、雪音に顔を合わせられないんじゃないか?」
「それは……」

 思い当たる節と言えば、やはりシャトーの屋上で危うくワイズマンに喉を切り裂かれる寸前だった事だろうか。あの時の透の焦りようと絶望は今までに見た事が無かった。ともすれば絶望に膝を折ってしまいそうなほどであった位だ。それは彼がそれだけクリスの事を大事に想ってくれている事の表れでもあるが、今回に限って言えばそれが悪い方向に向かっている様に奏達には見えた。

「気にしてんのかな、透の奴。クリスを守り切れなかったって」
「可能性としては、
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