暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第240話:傲慢の芽を摘んで
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して勝利とは言えぬ現状、未来を連れ去られて落ち込む響を差し置いて自分が奏と暢気にしている訳にはいかないと颯人は自重していたのだ。尤もそれは奏の方も同じような事を考えていたらしい。2人は騒動の後軽く互いの無事と再会に安堵した後、未来を連れ去られて落ち込んだ響のケアの為彼女の傍に寄り添っていた。その傍には翼も居り、今は2人が響を元気付けようとしてくれている筈である。

 そんな話を聞かされて、ガルドは思わず目を丸くしていた。

「意外だな……お前の中に自重と言う言葉があったとは」
「TPOくらい弁えますぅッ!」
「意外と思われたくないなら少しは普段の行動を改める事だ」
「奏ちゃんも颯人が相手だと苦労しますね」
「余計なお世話だっつうのッ!」

 ガルドだけでなく輝彦とアリスからも小言を言われ、颯人はふてくされた様に唇を尖らせそっぽを向いた。

 するとそこに、今度は何やら思いつめた様子の透がやって来た。彼は輝彦の姿を見つけると、颯人達を無視して彼に近付いて行った。

「すみません、輝彦さん。少し、お時間宜しいですか?」
「ん、透か。ふむ……」

 一応今は未来捜索の為使い魔を放っている最中なのだが、自分1人が抜けても大丈夫かと周囲を見渡す。

「あ〜あ〜、未来ちゃんとあの爺様の事なら俺らで探しとくから」
「テルヒコはトオルの方に行ってやってくれ」
「分かった、頼む。それでは透、行こうか」
「はい……!」

 そう言って輝彦と透はその場から去って行ってしまった。後に残された3人は、透が普段と様子が違った事に首を傾げる。

「何か透の奴、様子がおかしくなかったか?」
「先の戦いの後からだな。何か思うところがあったんだろう」
「彼が悩む事と言ったら、クリスさん絡みでしょう」

 そう言えばシャトーでの戦いで、クリスはかなり危うい所だった。透の悩みはそれかと颯人達は考えながら、未来の行方の手掛かりを探すのであった。




***




 颯人達の予想はほぼほぼ正解であった。

 訃堂が座している風鳴総家、その地下には独自の研究施設が存在していた。そこは限られた人員しか入る事を許されず、存在自体が秘匿された訃堂の居城。

 その中の一室に、訃堂とワイズマンの姿はあった。

「ここまでは順調……と言ったところかな? 訃堂殿?」

 ワイズマンは壁に寄りかかりながら訃堂の背に声を掛ける。その声に訃堂はチラリと背後に目をやり、直ぐに興味を失ったように視線を前に戻す。その不遜な態度に傍に控えているメデューサが文句を言おうとしたが、ワイズマンが手を上げた事でその言葉を飲み込まされる。

「貴様……」
「まぁ待て」
「ワイズマン様…………ッ」

 一度は剥こうとした牙を、手
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