二巻
十一話
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一夏が淀んだシャルルの目を見て言う。
「それは答えになっちゃいない。良いか悪いかを聞いてるんだから自分で考えて決めるんだ」
「……嫌、だよ」
一夏の言葉に絞り出すようにシャルルが口に出す。
「愛人の子だからって何度もぶたれて!父との会話も数回で!それで男と偽って入学させられて!僕だって普通の人みたいに生きたいよ!」
「それが出来る」
「……え?」
シャルルの激昂に一夏が返すと、シャルルは思わず間抜けな声を上げた。
「シャア。特記事項第二十一」
「本学園における生徒はその在学中においてありとあらゆる国家・組織・団体に帰属しない。本人の同意がない場合、それらの外的介入は原則として許可されないものとする、だったかな」
一夏の言葉に呼応して私が述べると、一夏が拳を突き出す。私も拳で返した、所謂グータッチというものだ。
「そんな条項まで覚えているとはな、一夏君」
「シャアこそ、一字一句間違えなかったじゃねぇか」
そういう訳で、初めからシャルルの身柄は保証されてたわけなのだ。
「……でもさ、僕は個人情報を偽ってたから……」
「そこもなんかおかしくね?」
それでも出てくるシャルルの否定的な意見に、一夏が疑問をぶつける。
「だってさ、ここはIS学園だぞ?こんな重要機密がいっぱいある学園で、シャルルが入学できるほど検査はざるなのか?」
「それはあるな。IS学園……ひいてはフランス政府、もしかするとデュノア社も一枚かんでるかもな」
「それってどういう事?」
一夏と私の言葉に思わず聞いてくるシャルル。それもそのはずだ。まさか自分を窮地に追いやってると思っていた人達が、自分を救おうとしているとは思いもよらなかったのだ。
「シャルルは最初から女性であることを想定して、何かから逃がすためにここに来たのではないんじゃねえの?」
「そう、なの?」
一夏の言葉にシャルルの声が段々と涙混じりになる。
「僕は、学園に、残って、いいの?みんなと、一緒に、学んだり、遊んだりできるの?」
「そうだ。どうせなら大学課程にも進んじまえ」
「私達だって結果を出せなければお終いだからな」
シャルルのの言葉に一夏と私が返す。それを聞くと堪えられないといった様子でシャルルは泣き出した。
シャルルの頭を一夏が胸で受け止める。
「ごめんね、ごめんね。ありがとう、ありがとう!」
「いいんだよ。ここに来た以上仲間だろ、俺達」
「むざむざとうら若き少女が地獄に行くのを見送って
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