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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 A
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た。あと、初めてアフタヌーンティーも体験してきたの」

「あら、よかったわねえ」

「俺も、久しぶりに愛美ちゃんと一日ずっと一緒に過ごせて楽しかった。まだ連れて行けてないところがいくつもあるのが残念だけどな」

「わたしも、ソラマチは行きたかったなぁ。でも、これで小説の大体のイメージは掴めたから、いよいよ執筆に入れるよ」

「そう。頑張ってね。……私も頑張らなきゃ」

「……ん?」

「え? 珠莉ちゃん、『頑張らなきゃ』って何を?」

 珠莉が自分に言い聞かせるようにポツリと言った一言に、愛美も純也さんも首を傾げた。

「……純也叔父さま、私、この後お父さまとお母さまに自分の夢について打ち明けようと思いますの。お願いですからついてきて下さいません?」

「分かった。一緒に行ってやろう」

「ありがとうございます、叔父さま」

「そっか、いよいよだね。珠莉ちゃん、頑張って! わたしは一緒についていけないけど、応援してるからね!」

「ええ。ありがとう、愛美さん」

 珠莉は愛美にもお礼を言った。その決意を秘めた笑顔には、初めて会った頃のつっけんどんな彼女の面影はどこにも見当たらない。

(わたしが夢を叶えて、今度は珠莉ちゃんの番! ご両親の説得、純也さんと一緒に頑張ってほしいな……)

「……珠莉、変わったな。どうやら愛美ちゃんからいい影響を受けてるらしい」

「うん。もしホントにそうだったら、わたしも嬉しいな。――純也さん、珠莉ちゃんの援護射撃よろしくね」

「ああ、もちろん!」


   * * * *


 ――部屋に戻った愛美は、スマホで今日撮った写真をスクロールしてイメージを膨らませながら、初の長編小説のプロットを作り始めた。

「……よし、大まかなプロットはできた。あとは……、難しいのはこれをどれくらいのページに収めるかだなぁ」

 編集者の岡部さん曰く、長編を書くにあたっていちばん苦労するのはページ配分らしい。

「とりあえず、書き始めれば何とかなるかな。でも、その前に……おじさまに手紙書こう」

 手紙を受け取る相手が、今宛て先の住所にいないことは分かっている。だって、()()()()()()()()()()()のだから。
 それでも、愛美はけじめとして手紙を出すことにしたのだ。


****

『拝啓、あしながおじさん。

昨日からの連投、失礼します。今日の純也さんとの初デートがあまりにも楽しかったので……。
 もちろん、ちゃんと取材もしてきましたよ。写真もいっぱい撮ってきました。
 まず最初に、彼はわたしを銀座に連れていってくれました。わたし、銀座って
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