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拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 A
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んのことなら気にしないで。今はわたしと純也さんの仲を応援してくれてるから。好きな人できたから、純也さんのこと気にしてないと思うし」

「えっ、アイツに好きな男ができた!? どんなヤツか、愛美ちゃんは知ってるのか?」

 愛美の思いがけない発言に、純也さんは「初耳だ」とばかりに目を丸くした。

「知ってるよ。そして多分、純也さんも知ってる人」

「俺も知ってる……っていうと、もしかして、さやかちゃんのお兄さんとか? まさかなー」

「うん、そのまさか」

「ウソっ!? マぁジでー!?」

 純也さんのリアクションは、今どきの若者らしいものだった。けれど、三十歳にしては若すぎる気がしなくもない。

「まだお付き合いはしてないみたいだけど、連絡先は交換してやり取りはしてるみたいだよ」

「まだ付き合ってはいないのか。でも、珠莉にもそういう相手ができたんだな。ちょっと安心した」

「純也さん、叔父さんの顔になってる」

 久しぶりに彼のそういう表情を見て、愛美は笑った。

 ――話しているうちに、外の夕焼けが濃くなっていた。ラベンダー色に染まった二人は何だかロマンチックだ。
 その雰囲気に後押しされるように、二人は自然と唇を重ねていた。キスをしたのは夏以来だと思う。

「愛美ちゃん、今日は楽しかった?」

「うん、すごく楽しかったよ」

「よかった。じゃあ、そろそろ帰ろうか。――また二人でどこかに出かけようね」

「うん!」

 ――二人は手を繋ぎ、エレベーターに乗ってスカイツリーの外へ。愛美ももう、周りの目なんか気にしなかった。

「……あ、そういや今日はソラマチまで回れなかったな。次の機会にしようか」

「そうだね。わたしが東京にいる間にまた来よう」

 愛美の冬休みはまだ始まったばかり。あと十日以上もあるのだから、また来る機会はあるだろう。


   * * * *


 ――その日の夕食も、愛美は純也さんと珠莉と三人だけで、二階のセカンドダイニングで摂ることになった。

「ウチの他の連中は、食事のマナーとかにいちいちうるさいから。一緒のテーブルを囲むのは愛美ちゃんにとってストレスになると思うんだ」

 との純也さんの計らいで、毎食そうすることになったのだという。もちろん、愛美にも異存はなかったので、彼のその提案をありがたく受け入れることにした。

「――で、お二人とも。今日のデートはどうでしたの? 充分に楽しめまして?」

 この三人ならマナーを気にしなくていいので、食事中もお喋りが弾む。
 珠莉が親友と叔父のカップルに、初デートの感想を訊ねた。

「うん、楽しかったよ。純也さんに色んな面白いところに連れていってもらえて、写真もいっぱい撮ってき
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