暁 〜小説投稿サイト〜
拝啓、あしながおじさん。 〜令和日本のジュディ・アボットより〜
第2章 高校2年生
初デートと初長編 A
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二人はクロークでコートとバッグを受け取り、レストランを出た。
「な? 昼食軽めにしてよかったろ?」
「うん、ホントにね」
支払いは純也さんが二人分もってくれた。
ここのアフタヌーンティーの料金はかなり高額で、一人分でも六千円以上かかる。さすがにこの金額は、高校生がお小遣いで支払える額の範囲を超えている。
(純也さん、どっちで支払ったんだろう? ブラックカード? それとも現金で?)
「――お待たせ! 支払い済んだから出よう」
首を傾げている愛美のところへ、ホテルのフロントから純也さんが戻ってきた。
「はーい。――ね、純也さん。支払いは現金とカード、どっちで?」
「ここはカードで。ブラックカードってね、ホントはあちこちでひけらかすようなものじゃないんだけどさ。ホテルのフロントではカード払いの方が楽っちゃ楽なんだよな」
「…………ほぇー」
愛美はそう言われてもピンと来なくて、間の抜けた声を出すしかなかった。
* * * *
帝国ホテルを出ると、日が傾き始めていた。
二人は車で、今日の最終目的地である東京スカイツリーへ行った。
ここは全長六百三十四メートルという、世界一の高さを誇る電波塔である。
タワーの下には〈東京ソラマチ〉という複合施設があって、そこにはショッピングモールや水族館も入っている。
「――わぁ……、キレイな夕日……」
ここの入場チケットも純也さんが買ってくれて、二人はエレベーターで天望デッキへ上がった。
ガラス張りの窓の外には東京の街並みが広がっていて、西の空にはちょうど日が沈みかけている。
「ちょうどいい時間に来られたな。もう少し暗くなってからだと、ここから見える東京の夜景がキレイなんだけど……。さすがにそんな遅い時間までは高校生を連れ歩けないから」
「う〜ん、キレイな夜景を見られないのは残念だけど。この夕焼けが見られただけでも、今日は来た価値はあるかな。純也さん、連れてきてくれてありがとう」
愛美は彼にお礼を言い、スマホで夕日の写真を撮った。
「俺のイメージショットは要らないの?」
「うん。ここは小説に登場させるかどうかまだ決めてないから。あの夕日だけでも記念に撮っておきたくて」
「……そっか」
「でも、今日一日あちこち見て回ったおかげで、ある程度は小説のイメージが固まったよ。これでやっと書き始められそう」
「そっか。役に立てたみたいでよかった」
とりあえず、取材はこれで終了。あとは純粋にデートを楽しむだけだ。
「――ねえ、純也さん。わたしがどうして純也さんのことを好きになったか分かる?」
手すりにもたれかかりながら、愛美は隣りに立つ彼に訊ね
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